2021年の中ロ貿易、輸出入とも3割超の伸び、中国はエネルギー禁輸への反対表明

(中国、ロシア、ウクライナ)

中国北アジア課

2022年03月17日

ジェトロが2021年の中国の対ロシア貿易について、グローバル・トレード・アトラスを基にまとめたところ、輸出額は前年比33.6%増の675億9,579万ドル、輸入額は37.2%増の783億5,080万ドル。貿易収支は107億5,501万ドルの赤字だった。

中国の貿易相手先を国・地域別にみると、ロシアは輸出額で第13位、輸入額では第11位に位置する。なお、ロシアからみた貿易相手国・地域では、中国は輸出額、輸入額とも第1位。

中国の対ロシア輸出では、機械類(第84類)と電気機器類(第85類)がそれぞれ全体の約2割ずつを占めて主要品目となっている。HSコード4桁ベースで輸出額上位10品目をみると、輸出額が最も大きいのは電話機(8517)で、前年比17.8%増の53億8,726万ドル、次いで自動データ処理機械(8471)が23.1%増の33億185万ドルと続く。このほか、自動車(8703)、衣類などの毛皮製品(4303)、玩具類(9503)など消費財が多く並ぶ(添付資料表1参照)。また、これら上位10品目についてロシア側の輸入統計(2021年)でみると、自動車(8703)を除く9品目で、中国が最大の輸入元だ。

中国の対ロシア輸入は、鉱物性燃料(第27類)が全体の7割弱を占める。HSコード4桁ベースで輸入額上位10品目をみると、1位は原油(2709)で前年比45.3%増の394億5,720万ドル。同品目の輸入額全体に占めるロシアの構成比は15.6%で、サウジアラビアに次いで第2位。

2位は石炭(2701)で、前年から2.9倍の70億232万ドルと急増。ロシアの構成比は26.1%で、インドネシアに次いで第2位。なお、2020年秋ごろからオーストラリアから中国への石炭が輸入停止状態となっている(2021年11月9日記事参照)。

3位は石油ガスその他のガス状炭化水素(天然ガスなど)(2711)で、前年比80.5%増の43億4,659万ドル。ロシアの構成比は6.0%にとどまるが、2011年から4.5ポイント上昇して拡大傾向にある。2019年にロシアから中国へ天然ガスを輸送するパイプラインが初めて開通(2019年12月12日記事参照)するなどの動きもみられる。

なお、中国国家統計局が発表した2019年の統計によると、中国の石炭供給量のうち輸入が占める割合は7.4%と、国内生産が大部分を占める一方で、原油の同割合は74.4%、天然ガスでは43.6%で、多くを輸入に頼る構造となっている。

中国外務省の趙立堅報道官は3月9日の記者会見で、ロシアのウクライナ侵攻に対して米国がロシア産原油などエネルギーの輸入禁止措置を決めたことなどについて(注)、「中国は国際法に準拠しない一方的な制裁に断固反対する」と表明。また「中国とロシアは一貫して良好なエネルギー協力関係を維持してきた。双方は相互尊重、平等、相互利益の精神に基づき、石油・天然ガスを含む分野で正常な貿易協力を展開していく」と強調した。

(注)米国のジョー・バイデン大統領は3月8日、ロシアから原油などエネルギーの輸入を全面的に禁止する大統領令に署名、即日発効した(2022年3月9日記事参照)。英国政府も同日、ロシアの石油輸入を2022年末までに段階的に停止することを発表した(2022年3月9日記事参照)。欧州委員会も同日、2030年までにEU域内のロシア産化石燃料への依存解消などを目指す政策文書を発表した(2022年3月11日記事参照)。

(小林伶)

(中国、ロシア、ウクライナ)

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