連邦経済競争委員会が中期戦略に関する意見公募を開始、反競争的政策を警戒

(メキシコ)

メキシコ発

2022年03月18日

メキシコ連邦経済競争委員会(COFECE)は3月15日、ウェブサイトでプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出し、「2022~2025年戦略的計画(案)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」に関する意見公募を開始した。同委員会が今後進めていく競争促進策について、3月24日までの期間で広く関係者から意見を集める。COFECEは2014年の憲法改正で創設されて以来、4年ごとの中期計画策定が求められており、「2022~2025年戦略的計画」は次期中期計画となる。この次期中期計画では、メキシコの経済活動を取り巻く環境についての分析がなされ、同環境下でのCOFECEの使命が再確認され、組織としての目標や戦略の設定、重点産業における競争促進策の方向性などがまとめられる。

次期中期計画案では、現状分析として新型コロナウイルスやウクライナ危機などの不安定な国際情勢、2019年以降のメキシコ経済の低迷、昨今のインフレ高進などの厳しい環境を挙げ、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)発効と国際貿易における中国の台頭が及ぼす影響についても言及している。そのうえで、競争の欠如は貧困を拡大させることを再確認している。

大統領による審議委員の未指名が組織運営に影響

COFECEは、メキシコの現状における懸念事項として、石油、電力などエネルギー分野における連邦政府の反競争的政策を問題視しており、連邦政府が主導する一連の規則改定や法改正の動きに反対意見を出し、場合によっては憲法訴訟を提起してきた(2020年10月21日記事、10月29日記事2021年2月8日記事、2月17日記事、4月15日記事、7月9日記事参照)。COFECEは、行政府や立法府に提出した、これらの多数の専門的見解が反映されないことに危機感を抱いている。

さらに、COFECEの運営審議会メンバーは本来7人だが、任期満了に伴う退任委員の後任指名が大統領により行われず、4人まで減少している。2021年9月にはアレハンドラ・パラシオス委員長が退任し、その後任の指名もないため、現在はジセラ・エルナンデス審議委員が委員長代理を務めている。4人という人数は決議を行うのにギリギリの人数だ。COFECEの評価委員会は、2020年11月18日、2021年4月19日、2021年11月26日の3度にわたり行政府に対して後任人事の候補者リストを提出し、大統領が上院に対して新たな審議委員の指名を行い、上院による任命承認を行うよう要請したが、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は再三の要請にも耳を貸さず、2022年3月17日時点でも上院に対して候補者の指名を行っていない。独立規制機関の役割を軽視するAMLO大統領は、通信分野の独立規制機関である連邦通信院(IFT)の審議員指名も行っておらず、IFTの運営審議会メンバーについても、定員7人のうち4人まで減少している。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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