バイデン米政権、イノベーションと安全保障に関する重要・新興技術リストを更新

(米国)

ニューヨーク発

米国バイデン政権の国家科学技術会議(NSTC)は2月7日、米国のイノベーションおよび国家安全保障における重要・新興技術(CET)リストを更新外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

CETリストは元々、トランプ前政権が2020年10月に発表した「重要・新興技術のための国家戦略(以下、技術国家戦略)」に含まれていたものだ(2020年10月20日記事参照)。技術国家戦略では、米国がCETで世界のリーダーであり続けるために、同盟・友好国や産学と連携して、(1)国内のイノベーション基盤を強化するとともに、(2)戦略的競争相手からCETを守ることを柱としており、その前提として20分野のCETを特定していた。

NSTCは今回のリスト更新PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において、2020年時のリストを基本としつつ、バイデン政権が2021年3月に発表した「国家安全保障戦略の暫定的な指針」(2021年3月5日記事参照)で掲げられた(1)米国民の安全保障、(2)経済的な繁栄・機会の拡大、(3)民主的価値観の実現と保護、を推進する潜在性を持つCETを特定したとしている。今回は19の分野を指定するとともに、2020年時のリストにはなかった各分野におけるサブカテゴリーを指定している。例えば、「先端製造」分野の下には、積層造形、クリーン・持続可能な製造、スマート製造、ナノ製造がサブカテゴリーとして指定されている。

NSTCは、特定したCETはあくまでも、近々発表予定の米国の技術的競争力および安全保障に関する戦略にとって参考となるもので、直ちに具体的な政策立案や予算配分に影響するものではないとしている。リストの使い道としては特に、米国の技術的リーダーシップを推進する取り組み、同盟・友好国との協力、社会に利益をもたらし民主的価値観と結びついたCETの開発・設計・管理・利用、米国の安全保障への脅威に対応するための米政府の措置の考案などのために用いるべきとしている。具体的に役立った例として、2022年1月に国土安全保障省がSTEM(科学、技術、工学、数学)分野でオプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT)制度を利用できる専攻分野を追加した件を挙げている(2022年1月28日記事参照)。

(磯部真一)

(米国)

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