ハーベック経済相、バイエルン州で水素関連プロジェクト工場を視察

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年02月01日

ドイツのロベルト・ハーベック経済・気候保護相は1月19~20日、ドイツ南部のバイエルン州を訪問した。ハーベック経済相は1月上旬、今後の気候保護政策に関する報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表(2022年1月18日記事参照)。また、今夏までにドイツの全16州を訪問し、気候変動、エネルギー、産業の構造転換などについて意見を交わすとした。ハンブルク市(州に相当)に続いて、今回はバイエルン州を訪問した。

ハーベック経済相は、バイエルン州のマルクス・ゼーダー州首相、フーベルト・アイバンガー州経済・開発・エネルギー相らと会談したほか、「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みで助成される予定の水素関連プロジェクトに採択された(2021年6月10日記事参照)、ボッシュとBMWの工場をそれぞれ視察した。

ボッシュの工場は、ミュンヘン市の北方約230キロに位置し、1939年から操業するバンベルク工場。従業員は約6,500人で、ディーゼル車用のコモンレール・インジェクタやノズルなどを生産してきた。将来的に同工場では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)(注)技術に基づく定置用燃料電池システムの生産を拡大する予定で(2020年12月22日記事参照)、IPCEIプロジェクトに採択されている。視察に同行したボッシュのシュテファン・ハルトゥング取締役会会長は、同社が2024年までに、定置用燃料電池に合計4億ユーロ以上を投資することを明らかにした。

BMWのミュンヘン工場は、市の中心から北に10キロにあり、従業員は約8,000人。3シリーズ(セダン)、4シリーズ(クーペ)などの組み立てを行い、2020年の生産台数は14万3,758台でBMWの生産台数全体の約6%を占める。エンジン工場も併設されているが、エンジン生産は他国工場に移管され、2026年までに電気自動車向けの組み立てラインが新設される予定だ(2020年12月1日記事参照)。BMWが採択されたIPCEIプロジェクトは、燃料電池車(FCEV)の開発と生産に関するもの。

ハーベック経済相が1月上旬に発表した今後の気候保護政策に関する報告書では、新連立政権の連立協定書(2021年11月26日記事参照)に基づき、2020年に発表された「国家水素戦略」(2020年9月9日付地域・分析レポート参照)で2030年までの水素電解プラントを5ギガワット(GW)まで拡大としていたものを、10GW規模に倍増するとした。それに合わせ、「国家水素戦略」を2022年中に見直すとしている。また、IPCEIによる助成を支援策の柱の1つに位置付けている。

(注)電極、電解質を含め、発電素子中に液体が存在せず、高温の固体電解質を用いた燃料電池。主に水素を燃料に利用し、発電効率が高い。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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