ボッシュ、2024年から定置用燃料電池を本格生産

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年12月22日

ドイツの自動車部品・電動工具メーカーのボッシュは12月7日、固体酸化物形燃料電池(SOFC)(注1)技術に基づく、定置用燃料電池システムの本格生産を2024年に開始することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は、提携する英国セレス・パワーとの協力を強化するとともに、当該分野に数億ユーロの投資を行う予定。

ボッシュはセレス・パワーと、2018年8月から燃料電池および燃料電池スタック(注2)の開発で協力している。2020年1月には、同社のセレス・パワーの持ち株比率を約18%まで拡大した。セレス・パワーの有する燃料電池に関する技術とボッシュが持つ生産ノウハウを生かして、2024年の本格生産を目指す。

ボッシュは、定置用燃料電池が分散型電源による電力供給のカギになるとみている。SOFCは、分散型電源として、街中、工場、店舗、データセンター、電気自動車(EV)向け充電施設などに設置されて、各所に電力を供給する。ボッシュは、こうした分散化されたエネルギー生産システムの市場規模が2030年までに200億ユーロになると予想している。市場拡大を見込み、同社では、定置用燃料電池に携わる社員を前年比で150人以上増やし、約250人超にしたという。

定置用燃料電池の生産拠点として、ボッシュはバンベルク工場(ドイツ南東部バイエルン州)、ベルナウ工場(ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州)、ホンブルク工場(ドイツ西部ザールラント州)を予定している。SOFCの生産能力は年間約200メガワットを目指す。これは、40万人分の家庭用電気を賄える量に相当する。

フーベルト・アイバンガー・バイエルン州経済・開発・エネルギー相は、今回のボッシュの決定について、「バイエルン州を水素技術の進んだ地域とする、われわれの目標に合致する」と評価した。バイエルン州は2020年5月に、州の「水素戦略」を発表、燃料電池技術の研究・拡大も同戦略に含まれている(2020年6月5日記事参照)。

(注1)電極、電解質を含め発電素子中に液体が存在せず、高温の固体電解質を用いた燃料電池。主に水素を燃料に利用し、発電効率が高い。

(注2)水素と酸素で電気を発生させるセルを積み重ねたもの。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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