ジェトロ、ITオフショア開発地としてのルーマニアの魅力をウェビナーで紹介

(ルーマニア)

ブカレスト発

2022年01月07日

ジェトロは12月15日、ルーマニアのオフショア開発環境を紹介するウェビナーを開催し、同国の豊富な技術者や人々が持つ多言語能力、日本人との性格的な融和性など、日本企業の外注先として最適である理由を解説した。

EU統計局(ユーロスタット)の2021年3月のデータ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ルーマニアは、スウェーデンやフィンランドなどと同様、コンピュータプログラミング・コンサルティング業が非金融セクターの総付加価値に占める割合(2018年時点)が高く、4%を超えている。また、多言語対応力に富み、2021年版のEF英語能力指数(注1)でルーマニアは世界で第15位と、英語の通用度が高く、加えて、ルーマニア語はイタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語と同じロマンス諸語なので、それらの習得度も高い。

これまでアジアや東欧のITベンダーに日本企業の数々のオフショア開発のプロジェクト管理をしてきた川島一也氏は「ルーマニアのIT人材は一般的に、感情表現が控えめで正直なので、日本人と親和性がある。他国と比べて、利益の多寡以上に、その仕事が面白そうかどうかが受注の判断材料になる傾向が強く、受託業務に一度着手すると進捗が早い。当初の仕様書どおりの納品に加え、より良い機能となる可能性があるアイデアの同時提案などクリエーティビティーな面を持つことも特徴だ。また、ルーマニアのITベンダーは、検収(納入品が発注時の仕様どおりであるか否かの検査)がEU基準で厳格に行われることを前提に開発し、それをクリアできるプログラムを納品してくることから、日本企業側にも安心感がある。男女問わずに会話を好むので、プライベートな情報でも抵抗なく話してくれるし、その方が仕事がはかどる」とアドバイスした。また「中国やタイ、ベトナム、ミャンマーといったアジアや、エストニア、チェコ、ポーランドなど東欧のITベンダーは既に需給が逼迫しており、発注を断られるか、あるいは価格が高い状況がある一方、ルーマニアは高校や大学から多くの技術者が輩出されて裾野が広く、現状では数少ない最適地だ」と述べた。

アンチ・ウイルス・ソフトウエアのビットディフェンダー( Bitdefender)は2001年、ルーマニアで最初の製品をリリースした。同国初のユニコーン(注2)でロボティックプロセスオートメーション(RPA、注3)開発のユーアイパス(UiPath)は2005年に創業、2017年2月に日本法人を設立後、日本では大手銀行をはじめ1,000社以上(2019年7月時点)に導入されている。こういった先駆者の実績が周囲のIT技術者に対し、日本企業との取引に対する関心を引いている。

ジェトロは13社のルーマニアIT企業(2021年11月16日記事11月16日の別記事2021年10月25日記事2021年11月9日記事参照)と、オフショア開発を検討している日本企業とのビジネスマッチングを2022年2月末まで実施しており、期間中を通して欧米やアジアなどに立地する在外日本企業の参加申し込みを受け付けている(添付資料参照)。

(注1)イー エフ エデュケーション ファースト(EF)が、2020年に同社のテストを受けた受験者のデータを基に発表した成人の英語能力ランキング。

(注2)創業から10年以内、企業評価額が10億ドル以上の未上場のベンチャー企業の総称。

(注3)人工知能(AI)、機械学習、ルールエンジンなどの認知技術を活用して、業務プロセスを効率的に自動化する機能。また、それを一体化させたソフトウエアプラットフォーム。画面上のアプリケーションやシステム画面を識別するソフトウエアロボットが実現する。

(西澤成世)

(ルーマニア)

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