ルーマニアのIT企業が会話型AIをリード、IDC調査

(ルーマニア)

ブカレスト発

2021年11月16日

国際的なIT調査会社IDCは10月に発表したレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、世界の会話型AI(人工知能)分野をリードする年間収益1億ドル未満の企業5社を紹介し、その中にルーマニアのドゥルイド(DRUID)を挙げた。

IDCは同社を評価する理由として、ルーマニア初のユニコーン(注1)でRPA(注2)開発のユーアイパス(UiPath)や、大手国際会計事務所、システムインテグレーターとの緊密なパートナーシップにより開発を続けており、多くの競合がひしめく従来型のチャットボット(注3)開発とは一線を画した、会話型AIの革新的なビジネスモデルを有していることを挙げている。

同社のリビウ・ドゥルガン最高経営責任者(CEO)は、2002年にERPソフトウエア(注4)を開発販売して以来、1,000社以上に納入してきた。ルーマニア・ソフトウエア・サービス産業雇用者協会(ANIS)の創設メンバーの1人で、2006年に同協会会長に就任している。2018年にドゥルイドを設立した。2021年1月には投資ラウンドでベンチャーキャピタルから250万ドルを獲得し、これまでの投資受け入れ総額は580万ドルに達している。同社のチャットボットは国内では大手の医療機関や銀行などに納入され、稼働している。

ドゥルガンCEOはジェトロに対し「今後数年以内に世界各地に少なくとも10拠点、北米や欧州、中東、日本にも拠点を開設し、時価総額1億ユーロを目指す」と述べた。

ジェトロは7月28日、在外日本企業を対象にルーマニア・オフショア開発ウェビナーを開催した。それ以降、ドゥルイドを含む13社のルーマニアIT企業(2021年11月16日記事2021年11月9日記事2021年10月25日記事参照)と、オフショア開発を検討している日本企業とのビジネスマッチングを2022年2月末まで実施しており、期間中を通して欧米やアジアなどに立地する在外日本企業の参加申し込みを受け付けている(添付資料参照)。

(注1)創業から10年以内、企業評価額が10億ドル以上の未上場のベンチャー企業の総称。

(注2)Robotic Process Automationの略。ルールエンジン、機械学習、AIなどの認知技術を活用した、オフィス業務の効率化や自動化のこと。画面上のアプリケーションやシステム画面を識別するソフトウエアロボットが実現する。

(注3)AIを活用した自動会話プログラム。

(注4)Enterprise(企業)・Resource(資源)・Planning(計画)ソフトウエアの略。企業の経営資源を一元に管理し、企業全体を最適化する。

(西澤成世)

(ルーマニア)

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