米商務省、バイオ関連ソフトウエアを輸出管理対象に追加、多国間枠組みに基づき

(米国)

ニューヨーク発

2021年10月06日

米国商務省の産業安全保障局(BIS)は10月5日、バイオ関連の一定のソフトウエアを「新興技術」として、米国輸出管理規則(EAR)の規制品目リスト(CCL)に加える最終規則を官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示した。規則は同日付で有効となった。

新たに管理対象に追加されたのは、「核酸の組み立て・合成用のソフトウエアで、電子的な配列データから機能的な遺伝子要素の設計・構築を可能にするもの」で、輸出管理分類番号(ECCN)として2D352が割り振られた。BISは、2021年5月に開催されたオーストラリア・グループ(注1)の会合で決定された事項を反映したとしている。BISは管理対象への追加理由を、生物兵器目的で使用される恐れがあるためとしており、EAR上での管理理由は、化学・生物兵器関連拡散防止(CB)と対テロリズム(AT)となる。EARのカントリー・チャート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでCB2とAT1の列にXがついている国に、輸出・再輸出・国内移転(みなし輸出・再輸出を含む)する場合にはBISの事前許可が必要となる(注2)。

BISは今回のソフトウエアを「新興技術」として追加した経緯について、2018年成立の輸出管理改革法(ECRA)で規定されたプロセスに基づいた、としている。ECRAは商務省に対して、技術の進歩に伴い従来のCCLで管理されていない技術を「新興技術」と「基盤的技術」として新たに指定するよう指示している。商務省は両技術の指定のために、一般からのコメント募集を完了したものの、明確なかたちで両技術をリスト化する動きはみせていない。これに対して、米国議会所属の米中経済・安全保障調査委員会(USCC)は6月、商務省による両技術の指定が遅れていると指摘していた(2021年6月9日記事参照)。両技術を指定するプロセスに関して、ジェレミー・ペルター商務次官代行は9月に行われたUSCCの公聴会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、技術は常に進化していくため、個別に新たなリストを作るのではなく、既存のCCLに追加していくとの方針を示した。また、多国間での管理体制が最も効果的との考えにも言及しており、今回の最終規則の発表はそれらの方針に沿ったものとみられる。

(注1)化学・生物兵器の拡散を防止することを目的とし、42カ国およびEUから成る多国間の輸出管理枠組みで、オーストラリアが議長国を務めている。外務省の解説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)米国の輸出管理法令の概要・運用などについては、ジェトロ調査レポート「厳格化する米国の輸出管理法令」「続・厳格化する米国の輸出管理法令 留意点と対策」を参照。

(磯部真一)

(米国)

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