クアラルンプール首都圏は最も緩い「国家回復計画」第4段階、入国者隔離期間も短縮
(マレーシア)
クアラルンプール発
2021年10月19日
マレーシアのイスマイル・サブリ首相は10月15日、新型コロナウイルス対策として、クアラルンプール首都圏を含む複数の州・地域における「国家回復計画(NRP)」(注)の段階の移行と、標準作業手順書(SOP)の緩和を発表した。
18日以降、首都圏(クアラルンプール、プトラジャヤ、セランゴール)とマラッカは最も緩いNRP第4段階へ、クランタン、ペラ、ペナン、サバ、ケダが第3段階へそれぞれ移行した。これにより、マレーシア全域が第3・第4段階となった。
クアラルンプール首都圏の段階移行プロセスは下記のとおりで、時間の経過とともに次段階の移行までの期間が短くなっていることが分かる。
- 6月15日 国家回復計画の発表(2021年6月21日記事参照):6月1日から施行している「移動制限令」が第1段階に相当
- 7月16日 首都圏の一部で7月3日から施行していた「強化された移動制限令」の終了に伴い、当該地域が第1段階へ移行(2021年7月19日記事参照)
- 9月10日 第2段階へ移行(2021年9月15日記事参照)
- 10月1日 第3段階へ移行(2021年10月8日記事参照)
- 10月18日 第4段階へ移行
6月にNRPを打ち出した際、第4段階への移行は10月ごろとみていたが、首都圏はこれを達成したことになる。なお、10月17日時点の首都圏のワクチン接種完了率は全人口比84.9%。
ワクチン接種完了者の隔離期間は7日間に短縮
同時に発表したSOPの緩和では、隔離期間の短縮がとりわけ外国とのビジネスの側面で大きなポイントとなる。従来はワクチン接種の状況にかかわらず、14日間の隔離が必要としていたが、10月18日以降、ワクチン接種の完了者に対しては、7日間に短縮する。ジェトロが同日に保健省に電話確認したところ、同日より前に到着した者に対しても、7日間が経過していれば、従来指定していた14日目を待たずに隔離を解除する。マレーシアに自宅があれば、引き続き自宅での隔離も可能だ。接種が完了していない者の隔離期間も10日間となる。国家元首を含む政府要人の公式訪問については、一定の条件下で隔離免除を試験的に実施し、いずれビジネス渡航者にも拡大する。
このほか、10月16日以降は国内全域で「グラブ」(Grab)などの配車サービスの乗車制限を撤廃し、また、高速道路にあるサービスエリアは24時間操業が可能となった。さらに、第3段階の対象地域では18日以降、ワクチン接種完了者に限り、事前の抗原検査やマスク着用、施設収容人数の5割上限を条件に、対面での会議や展示会などへの参加を認める。
(注)最も厳しい第1段階から最も緩い第4段階までの4段階で、新型コロナウイルス感染状況に応じて、経済活動と社会活動を段階的に制限。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
ビジネス短信 38120b7ebe203a68