クアラルンプール首都圏、新型コロナ対策「国家回復計画」で第3段階へ緩和

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年10月08日

マレーシア政府は10月1日、「国家回復計画(NRP)」に基づく複数の州・直轄領の新型コロナウイルス規制の段階を緩和した。そのうち、クアラルンプール首都圏といわれるセランゴール州、クアラルンプール、プトラジャヤはNRPの第2段階から、より緩和的な第3段階へ移行した。ケダ州が最も制限の厳しい第1段階から第2段階に移行したことで、全ての地域が第2段階以上となった(添付資料表参照)。

NRPの標準作業手順書(SOP)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(マレー語のみ)も10月4日に更新した。今回の変更で第3段階については経済活動面で大きな変化はなく、民間部門の出勤率は引き続き80%を上限としている。第2段階では引き続き、ワクチン接種完了者を対象に、セミナーなどを含む公共・民間部門での公式行事で、定員の50%までの人員で開催を認めている。また、ワクチン接種完了者はスポーツやレクリエーションの試合観戦でも、マスクの常時着用を条件に可能となる。一方で、NRPの第3・4段階では、ワクチンを接種していない者に対する規制を一部強化した。例えば、検査キットを使用した新型コロナウイルス感染の自己検査結果をイベント主催者や医師が確認をしないと、対面での会議ができないほか、店内での飲食も認められない。

マレーシアでは、ワクチン接種率が10月6日時点で全人口の64.0%、クアラルンプール首都圏では82.0%に上る。特にクアラルンプールでは、10月1日に第3段階へ移行した直後の週末には、移行前の前週と比べて顕著に人出が増えている。8割以上の人口がワクチン接種を完了していることから、施設入場時に新型コロナ対策アプリ「マイセジャテラ(MySejahtera)」を提示して感染リスクのチェックを受ける際にも、以前よりも監視の目が緩和したとの声も聞かれる。しかし、一部地域では感染者数が引き続き高水準で推移しており、病床の逼迫も報告されていることから、専門家は経済再開を慎重に行うべきとしている。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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