マレーシア政府、2022年中の中国のTPP11加盟交渉入りに期待

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年09月27日

国営「ベルナマ通信」(9月19日)によると、マレーシア国際貿易産業省(MITI)は同通信社の取材に対し、中国が環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加盟を正式に申請した(2021年9月17日記事参照)ことを受け、「勇気づけられた」とし、これを歓迎した。同通信社は、2021年2月の英国に次いで間を置かずに中国が加盟を申請したことから、TPP11がアジア大洋州域内外を問わず意義が大きく魅力的な協定であること、さらに究極の自由貿易協定(FTA)とも評されるTPP11がマレーシアと中国双方に大きな経済的メリットをもたらすと論じている。MITIは、2022年にも中国の加盟交渉が始まる可能性があることに触れた上で、中国の加盟により両国の貿易投資関係がさらなる高みに到達するとも評価した。なお、中国は、マレーシアにとって輸出入ともに最大の相手国だ。

マレーシアのTPP11批准に向けた進捗はいまだ不透明

これまでマレーシアでは、TPP11批准に向けた国内手続きが進行中とされてきた(注1)が、進捗の詳細は不明だ。ナジブ政権下の2018年3月にTPP11に署名したものの、同年5月のマハティール政権以降、同協定に対する姿勢を今日に至るまで明示していない(2018年12月28日記事参照)。

今回の中国の加盟申請を受け、MITI戦略交渉部のアリビィヤ・アリムトゥ・シニアダイレクターによると、イスマイル・サブリ現政権は、貿易やビジネスに資する政策を継続し、互恵的なFTAを受け入れる準備があるという(ベルナマ通信9月19日)。アリムトゥ氏は、MITIとしては2021年内、これがかなわなければ2022年第1四半期までにTPP11の国会承認を得たいとした(注2)。

なお、MITIが中国加盟を歓迎する発言をした2021年9月19日には、折しもペルーでTPP11が発効した(2021年7月15日記事参照)。これにより、TPP11の未発効国はマレーシア、ブルネイ、チリの3カ国のみとなった。

(注1)TPP11の規定内容を順守するため、マレーシアでは20以上の国内法改正が必要とされるものの、その進捗は明らかにされていない(2021年2月26日付地域・分析レポート参照)。

(注2)中国とマレーシアがともに参画する地域的な包括的経済連携(RCEP)についてもMITIは、2021年12月中旬までに批准を終える見通しを示した(国営「ベルナマ通信」9月21日付)。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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