中国、CPTPPへの加入を正式に申請

(中国)

北京発

2021年09月17日

商務部は9月16日、中国が正式に環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加入を正式に申請したと発表した。同日に、商務部の王文涛部長が同協定の寄託国であるニュージーランドのダミエン・オコーナー貿易・輸出成長担当相に加入申請の文書を提出した。なお、両者は、中国の加入申請後の関連手続きについて電話会談を行った。

習近平国家主席は、2020年11月に開催されたAPEC首脳会議において、中国がCPTPPへの加入を積極的に(前向きに)検討すると表明していた。それを受け、商務部がCPTPP条項の評価・分析を行うとともに、CPTPPの一部メンバー国と非公式にコンタクトを取り、意思疎通と交流を行っているといった進捗状況を発表していた(2021年3月4日記事参照)。

中国国内の専門家からは、CPTPPへの加入のメリットを指摘する意見が示されるとともに、加入への障害を指摘する声もある。

中国グローバル化シンクタンク(CCG)の王輝耀理事長は、中国がCPTPPに加盟すれば、今後中国のサービス業やハイテク産業、デジタル経済にとって巨大なグレードアップの機会がもたらされるだろうと指摘する(「毎日経済新聞」9月17日)。

商務部国際貿易経済合作研究院区域経済合作経済研究中心の張建平主任は、CPTPPの条文は30章で構成されており、そのうち特に労働基準、環境保護、政府調達、知的財産権保護、競争政策、投資家対国家の紛争解決条項(ISDS)、デジタル経済、国有企業規制および産業補助金の問題などが幅広く中国の経済管理体制や規則に影響を与えると指摘した(「鳳凰網」9月16日)。

さらに、張主任は、中国がCPTPPに参加する際の障害として、CPTPPがサービス貿易分野においてネガティブリストによる管理となっている一方、中国はポジティブリスト方式での管理となっていることなどから、中国のサービス分野の開放の状況とCPTPPのルールとの間には、まだ大きな差がある、と指摘した。また、中国の物品貿易の自由化の度合いとCPTPPの間にも大きな差があるとの認識を示した。

張氏は、これらの問題への対応策として、中国が、自由貿易試験区において先行的に制度的開放を推進しつつ、経済・貿易管理と関連制度を徐々に改善する必要があるとの認識を示した。

(藤原智生)

(中国)

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