米エネルギー省、2035年までに太陽光の発電比率が40%を超える可能性を指摘

(米国)

ニューヨーク発

2021年08月23日

米国エネルギー省(DOE)は8月17日、太陽光発電に関する報告書を公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)し、2035年までに総発電量のうち太陽光発電の構成比が40%を超える可能性があると指摘した。現状の太陽光発電の構成比は約3%で、現状からシェアが約13倍に拡大する計算となる。

同報告書では、バイデン政権の公約である2035年までの電力部門の脱炭素化を達成するためには、太陽光発電の開発を2030年までに現在の開発速度の3~4倍に高めなければならないとして〔足元の開発規模は15ギガワット(GW、注)程度、2021年7月12日記事参照〕、そのためにクリーンエネルギーの投資・製造に対する税額控除や送電網などへの投資などを拡大しなければならないと指摘している。こうした取り組みを行うことで、2035年までに同発電の構成比は40%を超えるとしており、同時に、2035年までに太陽光発電部門の労働者は50万から150万人程度増加し、クリーンエネルギー技術分野全体では数百万人の新しい雇用を生み出す可能性があるとしている。

ホワイトハウスは、DOEが報告書を公表した同日に、太陽光発電に対する歴史的な投資が必要だとする声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。現在、議会で調整中の超党派のインフラ投資計画および3兆5,000億ドル規模の投資計画(2021年8月11日記事参照)に含まれている太陽光発電など、クリーンエネルギーに対する3,000億ドル規模の税額控除延長を例に挙げ、両計画の意義を訴えた。

最近では、洋上風力発電に力を入れるバイデン政権だが(2021年3月31日記事2021年6月3日記事参照)、太陽光発電にも力を入れ始めている。マーティ・ウォルシュ労働長官は、ファーストソーラーがオハイオ州に所有する3.3GW規模の太陽光発電施設を見学し、「この施設は、持続可能な未来に向けた革新的な製造を推進するだけでなく、技能研修、競争性のある高賃金、および十分な福利厚生を労働者に提供している」と述べ、太陽光発電に対する期待感を表した。また、ホワイトハウスで気候変動対策を担うジーナ・マッカーシー大統領補佐官はインタビューで、「クリーンエネルギーに対する税額控除こそが、生産と製造の推進力となる」と述べ、同措置延長の意義を訴えている。太陽光の発電容量は2010年には約2.5GWだったところ、10年程度で100GWまで拡大しているが、バイデン政権による同発電の推進と相まって、関連市場はさらに拡大していくことが期待される。

(注)1ギガワット=1,000メガワット=100万キロワット。

(宮野慶太)

(米国)

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