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ケリー米特使、中国に気候変動目標引き上げ促す、8月末に第2回会談の見通し

(米国、中国)

ニューヨーク発

2021年07月27日

米国のジョン・ケリー気候変動担当大統領特使は7月20日、訪問先のロンドンで講演し、中国に温暖化ガス(GHG)削減目標の引き上げを促していく考えを表明するとともに、8月末にも中国を訪問する計画があることを明らかにした。ケリー特使は4月にも中国の気候変動担当特使の解振華氏らと会談しており(2021年4月20日記事参照)、実現すれば特使として2度目の訪中となる。

中国は現在、「2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを達成する」という削減目標を掲げている。ケリー特使は4月の気候変動サミットで、日本やEU、英国など多くの国・地域が野心的なGHG削減目標を掲げたことを紹介した上で(2021年4月23日記事参照)、「〔国際エネルギー機関(IEA)によると)〕中国が2030年までに排出量をピークアウトできない場合、他国は(パリ協定達成のために)カーボンニュートラルの達成を2040年ないし2035年に前倒しさせなければならない」「経済的リーダーで気候変動の最大の推進者である中国が、2020年から2030年という重要な10年間に(排出量の)ピークを迎え、早期に排出量の削減を開始することで、世界を(パリ協定達成という)成功に導くことができる」と述べ、中国のさらなる排出削減努力を促した。さらに「ジョー・バイデン大統領と習近平国家主席は、他の重要な相違点にもかかわらず、気候問題で協力していくことを明確に表明している」と述べたほか、気候変動問題については継続的に中国側と議論しており、8月末ごろには訪中する予定であることも明らかにした。他方、中国が石炭火力発電所の建設と資金提供を続けていることに対しては「国際的な気候変動に関する公約を超えている」と批判した。

ケリー特使が4月に訪中した際には、11月に英国グラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)までにそれぞれが長期戦略を策定することを確認している。そのため、8月の訪中が実現した場合、中国のさらなる排出削減について議論した上で、それをどのように長期戦略に落とし込むかなども論点になりそうだ。また、中国では7月16日にCO2排出権取引制度が全国規模で始まり(2021年7月19日記事参照)、米国でも民主党が提案した3兆5,000億ドル規模の投資計画の中で、財源の1つとして炭素集約的な輸入品に関税を賦課する案が盛り込まれている(2021年7月16日記事参照)。7月14日にはEUも国境炭素調整措置の設置規則案を提案しており(2021年7月16日記事参照)、これらを踏まえると、両国の国境炭素調整措置への今後の対応も論点の1つになると思われる。

ケリー特使は7月12~15日にロシアも訪問しており、パリ協定達成に向けて気候変動問題について2国間で協力していくという共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出している。米国は中国やロシアとさまざまな分野で対立が続いているが、気候変動問題では協働を模索する動きが今後も継続すると考えられる。

(宮野慶太)

(米国、中国)

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