各国襲う新型コロナ感染拡大が製造業回復の足かせに

(ASEAN、マレーシア、ミャンマー、ベトナム、タイ、インドネシア)

ジャカルタ発

2021年07月07日

ASEAN主要7カ国(注1)の6月までの製造業購買担当者景気指数(PMI)が7月7日、IHS MARKITのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で発表された(添付資料図参照)。新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンなどの封鎖措置を実施しているマレーシアなどが引き続き景気後退の水準となった(注2)。ミャンマーは2月の国軍による権力掌握以降、数値が大きく落ち込んだ状況が続いている(2021年5月25日記事参照)。

6月のPMIが景気拡大の判断目安となる50.0を下回ったのは、タイ(49.5)、ベトナム(44.1)、ミャンマー(41.5)、マレーシア(39.9)だった。マレーシアでは、新型コロナウイルスの急激な感染拡大に伴う全国規模の移動制限令(Movement Control Order:MCO)が発令され、製造業の出勤率が厳しく制限された(2021年5月28日記事参照)。同社エコノミストのクリス・ウィリアムソン氏は「この措置により、製造業への需要が衰退し、生産活動が妨げられ、最終的にはサプライチェーンが寸断された」と指摘する。ベトナムでは、5月以降に感染者数が増加し、流行地域の工業団地内の工場は操業休止を余儀なくされているケースも発生するなど、製造業へ顕著に影響が出ている(2021年6月1日記事参照)。ミャンマーの数値は改善傾向にあるものの、原材料不足や運送遅延などの事象がいまだに発生していることが足かせとなっている。

インドネシアは2020年11月以降、50.0以上を維持しているが、6月後半から感染が急激に拡大、7月に入って行動制限が強化された(2021年7月2日記事参照)。製造業への影響が懸念される。

(注1)インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマーの7カ国

(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエートを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」として景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(上野渉)

(ASEAN、マレーシア、ミャンマー、ベトナム、タイ、インドネシア)

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