ミャンマー製造業、2月以降は大幅な景気後退が続く

(ASEAN、ミャンマー)

ジャカルタ発

2021年05月25日

ASEAN主要7カ国(注1)の製造業購買担当者景気指数(PMI)が、2021年1月から4月においては、ほとんどの国が景気拡大の水準(50.0超)であるのに対し、ミャンマーのみが直近の国内情勢(2021年2月1日記事参照)の影響を受け、景気後退の水準に大きく落ち込んでいることが明らかになった。PMIはIHS MARKITのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で毎月発表されており、4月分は5月6日に発表された。

ミャンマーでは2月1日に国軍が権力を掌握後、PMIが大きく低下した。2月は27.7、3月は25.5と、「新型コロナウイルス禍」で最も影響を受けた2020年4月(29.0)よりもさらに低い数値を記録した。IHS MARKITエコノミストのシリヤ・パテル氏は「工場が閉鎖されたことにより、生産量と新規受注量が大きく減少している」と指摘。また、報道によると、多くの工場が生産のための原料を確保できない中で閉鎖に追い込まれ、かつ交通機関が寸断しロジスティックコストが上昇している(「バンコク・ポスト」紙4月26日)。影響は経済全体に及び、アジア開発銀行(ADB)は2021年のミャンマーの経済成長率をマイナス9.8%と予測した(2021年4月30日記事参照)。

ASEAN全体をみると、2月はミャンマーに加え、タイ、マレーシア、シンガポールで50.0を下回ったが、シンガポールは3月、残り2カ国は4月に同水準を上回った。4月単月では、ベトナム(54.7)、インドネシア(54.6)、マレーシア(53.9)、シンガポール(51.8)、タイ(50.7)と多くの国で景気拡大の状態にある。4月に新型コロナの感染が拡大したフィリピンは49.0だった。

(注1)インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマーの7カ国

(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエートを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(上野渉)

(ASEAN、ミャンマー)

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