世界銀行、2021年の世界経済見通しを上方修正

(世界)

国際経済課

2021年06月09日

世界銀行は6月8日、「世界経済見通し」〔プレスリリース(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕を発表した。2021年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)を5.6%、2022年4.3%、2023年3.1%とした(添付資料表参照)。2021年1月発表の見通しから、2021年を1.5ポイント、2022年を0.5ポイント、それぞれ上方に修正した(2021年1月6日記事参照)。

その他の国際機関〔IMF(2021年4月7日記事参照)、国連経済社会局(2021年5月12日記事参照)、OECD(2021年6月1日記事参照)〕と同様に、世界銀行は今回、新型コロナウイルス感染による経済的影響の縮小や、多くの先進国での予想以上に速いワクチン接種ペース、米国での追加の財政支援の結果として、世界経済見通しを上方に修正した。2021年の世界の経済成長率見通しについて「景気後退後では過去80年で最も高い成長率」と分析している。

2021年の経済見通しをグループ別にみると、先進国・地域の経済成長率を5.4%とし、前回見通しより2.1ポイント上方に修正した。その背景として、2021年に至るまでの予想以上の経済活動の勢い、一部の国でのより迅速なワクチン接種、米国の追加財政支援、大きい繰り延べ需要を挙げた。主要国・地域別にみると、米国を6.8%と3.3ポイント引き上げた。新興・途上国・地域は、外需の改善と一次産品価格の上昇に支えられ、0.8ポイント上方修正して6.0%に達すると見通す。中でも、中国は0.6ポイント引き上げて8.5%とした。

世界銀行は「パンデミックとそれに対するワクチン接種のペースが見通しを牽引する最重要な要因」とし、ベースラインは、ワクチン接種の進展が先進国で2021年末までに新型コロナを効果的に封じ込めるのに役立つと想定した。主要新興・途上国・地域では感染縮小で実質的な進展を遂げるが、多くの新興・途上国・地域では予測期間中、ワクチン接種が継続するとした。

世界銀行は、短期の見通しは下振れリスクが引き続き支配的とみている。下振れリスクとして、(a)継続的な新型コロナ感染再燃と新たな変異ウイルスの出現と拡散、(b)金融市場ストレス(引き締め)、(c)企業の債務不履行、(d)地域特有の下振れリスクを、上振れ要因としては、(a)世界大でのパンデミックの迅速な収束、(b)持続的かつ広範な世界的な経済回復を挙げた。

(朝倉啓介)

(世界)

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