イスラエルのリニア水素エンジン開発のアクエリアス、UAEに工場設立

(イスラエル、アラブ首長国連邦)

テルアビブ発

2021年06月21日

イスラエルの現地紙「グローブス」は6月13日、軽量で低コストの発電用フリーピストン・リニアエンジンを開発するスタートアップのアクエリアス・エンジンズが、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで活動する英国エネルギー関連企業のカムパック・インターナショナルと共同で、UAE工場を設立する合意文書(MOU)に署名したと報じた。

設立される新工場は、両社の合弁会社アクエリアス・オートモーティブ・ミドルイーストが運営し、アクエリアス・エンジンズが開発した技術を基に自動車関連製品を製造する。カムパック・インターナショナルは工場設立に向けて10億~12億ドルの資金を調達するとともに、MOU署名後14カ月以内にアクエリアス・エンジンズの株式の10%(時価総額50億ドル)を購入できるオプションを有する。

アクエリアス・エンジンズは2014年9月に創業。2020年12月にテルアビブ証券取引所に上場して6,900万ドル、上場前までの資金調達ラウンドのシリーズCで合計4,200万ドルを調達している。同社では、独自に開発したフリーピストン・リニアエンジンを基に、燃料電池を必要とせず、水素だけで稼働する新型水素エンジンを開発した(2021年6月16日付地域・分析レポート参照)。自動車部品大手の武蔵精密工業(2019年11月発表)やTPR(2020年10月発表)から出資を受けるなど、日本企業とも連携の実績がある。

イスラエルとUAEは、2020年8月に国交正常化に合意して以降、さまざまな産業分野で協力・連携を発表してきた(2020年9月2日記事参照2020年9月17日記事参照2020年10月9日記事参照)。今回のアクエリアス・エンジンズの進出は、カーボンニュートラル分野での連携事例となる。

(吉田暢)

(イスラエル、アラブ首長国連邦)

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