欧州自動車業界、排出規制強化受け入れには充電設備増加が必要と主張

(EU)

ブリュッセル発

2021年06月28日

欧州委員会が7月中に気候変動関連の政策パッケージ「Fit for 55」を発表するのを前に、欧州自動車工業会(ACEA)は6月25日、オリバー・ツィプセ会長〔ドイツBMW最高経営責任者(CEO)〕のビデオメッセージを公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。「Fit for 55」には、乗用車と小型商用車の二酸化炭素(CO2)排出性能基準の見直しと代替燃料インフラ指令の改正が含まれる予定だ。ツィプセ会長は、自動車業界はより高いCO2排出性能基準を受け入れる用意はあるが、欧州委はEU加盟国に対して拘束力のある、充電ポイントや水素ステーションの設置目標数を課して投資を促し、EU全域で代替燃料インフラの大幅な増加に取り組む必要があるとした。また、充電ポイントの設置数が増えれば、車両に搭載されるバッテリーをさらに大型化する必要もなくなり、車両のコストをより抑えられるとして、その社会的意義も強調した。価格帯が1万5,000ユーロから3万ユーロの自動車の電動化も可能になるとして、電気自動車(EV)の普及には必要不可欠だとした。

大型商用車用の充電設備拡充も訴える

EVの充電インフラ整備については、欧州会計検査院(ECA)が4月、欧州委の取り組みに対する監査報告書で指摘したとおり(2021年4月15日記事参照)、半数以上の加盟国で代替燃料インフラ指令が設定した目標に2020年9月時点で到達しておらず、加盟国間で普及率に大きな差がある。ACEAは充電ポイント拡充の必要性を繰り返し指摘しており(2020年10月30日記事参照)、6月9日には長距離電動トラック用の充電ポイントについて「非常に不足しており、緊急課題として取り組む必要がある」と指摘外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。欧州の商用車業界は2040年までに新車の脱化石燃料化を目指しており(2020年12月17日記事参照)、ACEAは、バッテリー式電動トラック市場は今後数年間で急速に成長する可能性があるとして、6月18日付声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2025年までに欧州全域に少なくとも4万カ所の充電ポイントを設置する必要があるとした。さらに、代替燃料インフラ指令の改正に当たっては、公設の急速充電ポイントを2025年までに1万~1万5,000カ所設置することを目標とするべきとした。

(滝澤祥子)

(EU)

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