米カリフォルニア州、内陸郡のEV充電設備建設に奨励金

(米国)

サンフランシスコ発

2021年05月24日

米国カリフォルニア・エネルギー委員会(CEC)は5月17日、州内の内陸部を主とした13郡(注1)での電気自動車(EV)充電ステーション(EVCS)建設・増設に総額1,750万ドルの奨励金(インセンティブ)を付与するプログラムを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは、CECが管轄するカリフォルニアEVインフラプロジェクト(CALeVIP)に基づくもので、申請者は商業グレードのレベル2充電設備(注2)1台につきコネクター当たり3,500~6,000ドル、直流(DC)急速充電設備(注3)1台につき3万~8万ドルを受け取ることが可能だ。申請受け付けは18日から開始した。

同州は2025年までにEVCSを25万カ所に増やすことなどを中間目標に、ゼロ・エミッション車両(ZEV)インフラ拡大を急いでいるが(2021年5月10日記事参照)、現時点ではEVCSの多くが大都市圏に集中している。4月30日時点でEVCSが最も多い郡はロサンゼルス(1万9,872カ所)、次いで、サンタクララ(1万6,119カ所)、サンディエゴ(7,170カ所)、オレンジ(5,381カ所)、サンマテオ(4,282カ所)となっている(注4)。ロサンゼルス郡は、EVCSを2025年までに6万カ所、2035年までに7万カ所に増設する方針を示している(2021年5月20日記事参照)。

ギャビン・ニューサム知事は5月14日、新型コロナウイルス感染拡大からの復興などに向けた総額1,000億ドルの経済対策のうち、約32億ドルを今後3年間、同州のZEV目標(注5)達成のために充てると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。14日の知事記者会見によると、この使途として、ZEV(トラック1,150台、乗り合いバス1,000台、スクールバス1,000台)の配備に17億ドル、ZEV購入者への払い戻しプログラムなどに8億ドル、ZEVインフラ拡大に5億ドル、ZEV製造業者への助成金に2億5,000万ドルとなっている。

EVCSの拡充をめぐっては、バイデン政権も3月末に発表した「米国雇用計画」で、全国でEVCSを50万カ所設置するために支援を行うとしている。5月18日には、公共充電設備に対する助成金などEV普及に向けた具体策を発表した(2021年5月21日記事参照)。

(注1)ビュート(2019年国勢調査推定人口:22万人)、エルドラド(19万人)、インペリアル(18万人)、キングス(15万人)、マーセド(28万人)、ナパ(14万人)、ネバダ(10万人)、プレイサー(40万人)、ソラノ(45万人)、スタニスラウス(55万人)、サッター(10万人)、トゥーレアリ(47万人)、ヨロ(22万人)の13郡。

(注2)208~240ボルトの交流(AC)高速充電設備。CECによると、1時間でプラグインEV1台に14~35マイル走行分の充電が可能。

(注3)480ボルトの直流(DC)高速充電設備。CECによると、30分で全バッテリー式EVを80%まで充電可能(ただし、バッテリーのサイズや充電器の出力レベルにより異なる)。

(注4)レベル1充電設備(120ボルトの交流低速充電で1時間に5マイル以下の走行分の充電が可能)、レベル2充電設備、DC急速充電設備の合計。

(注5)カリフォルニア州は2035年までに州内で販売する全ての新車(乗用車とトラック)をZEVとすることなどを目標としている(2020年10月2日記事参照)。

(田中三保子)

(米国)

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