バイデン米大統領、「EV分野で中国に後れを取る」、EV普及政策への理解を訴え

(米国)

ニューヨーク発

2021年05月21日

ジョー・バイデン米国大統領は5月18日、ミシガン州にあるフォードのディアボーン工場を視察し、電気自動車(EV)ピックアップトラック「F-150」を試乗した。工場で行った演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「自動車産業の未来は電気で、後戻りすることはない。米国の自動車産業は岐路に立たされているが、真の問題は、われわれが未来への競争でリードするのか、それとも遅れるのかだ」と述べた。さらに、「われわれはEV分野で中国に後れを取っているが、彼らはこのレースに勝つことはできない。そうさせてはいけない。われわれは迅速に行動する必要がある」と述べ、自身のEV普及政策への理解と協力を訴えた。

ホワイトハウスは同日、バイデン大統領が3月31日に発表した「米国雇用計画」(2021年4月5日記事参照)の柱の1つである、EVの普及に向けた取り組みに関するファクトシートを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

それによると、(1)需要の促進、(2)製造およびサプライチェーン、(3)充電設備の全国ネットワークの構築、(4)研究とイノベーション、に関し、これまで発表されてきた内容に加え、新たな取り組みを加えた(添付資料表参照、注)。

需要の促進では、EV購入に際しての消費者インセンティブの提供が盛り込まれたほか、路線バスやスクールバスのEV化に向け、それぞれ250億ドル、200億ドルの投資が提案された。なお、消費者インセンティブに関する具体的な支出額は示されなかったが、ロイターなどの報道では、EV関連支出として提案されている1,740億ドルのうち、1,000億ドルが充てられる見込みだと報じられている(「ロイター」4月7日)。

製造およびサプライチェーンに関しては、米国製の部品や機器の利用の促進を目的とした既存の税額控除制度への新たな資金の提供や、バッテリー工場の新設に対する助成金、遊休工場の再建に対する資金提供が提案された。また、充電設備の全国ネットワークの構築に関しては、既に発表されている50万カ所の充電設備の設置に向けた150億ドルの投資のほか、充電設備に関する既存の税額控除制度の延長や改善などが新たに盛り込まれた。さらに、研究とイノベーションに関しては、高性能バッテリーといったクリーンエネルギーの応用研究を主導するエネルギー省への150億ドルの分配や、全米でのイノベーションや生産性向上の支援を目的として地域のイノベーションハブなどへの200億ドルを投じる案が示された。

(注)「米国雇用計画」でEV関連の支出案として提示された1,740億ドルとの相関については明示されていない。

(大原典子)

(米国)

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