人材派遣とPTUに関する連邦労働法改正案が成立

(メキシコ)

メキシコ発

2021年04月22日

メキシコで、人材派遣を規制する連邦労働法および関連税法の改正案が4月20日、賛成118、棄権2の賛成多数で上院を通過し、成立した。行政府による官報公布を経て発効する。

同法案は2020年11月12日に大統領が連邦下院に法案を提出(2020年11月13日記事参照)、民間部門の反発が強かったため、経済界との調整を行うために国会審議を2021年2月以降に先延ばしにした(2020年12月11日記事参照)。その後、経済界との調整は難航したが、4月5日に政府、経済界、労働組合の3者で合意に達し、労働者利益分配金(PTU)の1人当たり分配額に上限を設けることを法案に盛り込む内容で国会審議が開始された(2021年4月14日記事参照)。4月13日に下院を通過して上院に送られ(2021年4月15日記事参照)、4月19日の労働社会保障・大蔵公債合同委員会の審議で最終法案が確定し、4月20日の本会議で上院でも可決された。下院を通過した法案に、上院で大きな変更は加えられていない。行政府は、成立した一連の法改正を5月1日のメーデーまでに官報で公布するとみられている。

事業会社の定款に記載されている事業目的やその会社の優先的経済活動と見なされる活動のための労働者を、人材派遣会社を通じて調達することは今後できなくなるため、現時点でそのような派遣労働者が事業所内で働いている場合、直接採用の労働者として社会保険登録を変更する必要がある。この雇用主変更手続きは、法改正施行後90日以内に行う必要があるため、今から準備をしておく必要がある。なお、専門サービス・工事請負業者は、労働社会保障省(STPS)への登録義務があるため、法改正施行後30日以内にSTPSが公布する細則に従い、登録を行う必要がある。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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