ロックダウン延長、第3波抑制の正念場はイースター休暇期間

(ドイツ)

ベルリン発

2021年03月25日

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は3月22日、新型コロナウイルス感染抑制策に関する州政府首相との協議結果を発表した。3月28日までの行動制限措置期間(2021年3月8日記事参照)を4月18日まで延長することで合意した。新型コロナウイルスの英国型変異株の感染者数が急増(17日発表では新規感染者全体の約72%)し、集中治療室の病床が逼迫するなど、第3波の状況は深刻だとして、4月初旬のイースター(復活祭)休暇期間は、自宅にとどまるよう市民に呼び掛けた。

今回の主な合意内容は以下のとおり。

  • これまでの行動制限措置は継続。
  • 在宅勤務:引き続き、雇用主は業務履行が可能な限り従業員による在宅勤務を実施し、在宅勤務が不可能な場合は、従業員に対して定期的(週1~2回)な抗原検査を提供しなければならない。
  • 旅行:引き続きイースター休暇期間を含め、国内外への必要不可欠でない個人旅行や訪問は自粛。さらに新たに現地出国前の新型コロナウイルス検査の義務化を検討(注1)。
  • 非常ブレーキ:引き続き、過去7日間の人口10万人当たりの新規感染者が3日連続で100人を超えた場合、3月7日まで適用されていた接触制限(2021年2月15日記事参照)を再度導入する「非常ブレーキ」を設ける。そのため、地域によっては外出制限などのより厳しい措置が実施される可能性もある。

なお、3月22日の協議合意では、イースター休暇となる4月2日、4日、5日の祝日に加え、4月1日と3日を祝日(注2)とし、4月1日から5日にかけて、全土で公共空間での集会を原則禁止し、一部営業が認められていた屋外飲食店も閉鎖すると発表していた。しかし、祝日の追加設定について「コストは70億ユーロに上る」〔ケルン経済研究所(IW)〕、「緊急を要する製造ラインも停止することになり、大きな問題」〔ドイツ機械工業連盟(VDMA)〕、「連休前後に来店者が増加するため逆効果、開店を要求」〔ドイツ小売業連盟(HDE)〕など、経済界が猛反発した。これを受け3月24日、メルケル首相は緊急の州政府首相との協議を行い、祝日追加の法制化の時間的な面での難しさから、同措置を撤回することとし、国民に陳謝した。

次回の首相と各州首相の協議は4月12日の予定。

(注1)3月23日現在、日本はリスク地域に指定されていないため、入国が認められる場合(2021年2月2日記事参照)、事前の新型コロナウイルス検査は不要。リスク地域対象外の国に対する事前検査の要否は、今後発表される改正感染予防法で定められることになる。

(注2)ドイツでは法律上、日曜・祝日の労働は原則として不可。小売店の営業も認められていないため、小売店も原則閉鎖される。

(中村容子)

(ドイツ)

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