ロックダウンを3週間延長、産業界は中期的な指針を要望

(ドイツ)

ベルリン発

2021年02月15日

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は2月10日、州政府首相と新型コロナウイルス感染抑制策について協議し、2月14日までの行動制限措置を3月7日まで延長することで合意した。直近7日間の人口10万人当たりの新規感染者数は、前回の協議が行われた1月25日には111人だったが、2月10日には68人まで減少し、目標とする感染経路の追跡が可能とされる水準の50人未満に手が届くところまで低下している。しかし、感染力の高い変異種の拡散に対する警戒感は強く、行動制限措置が再び延長された。

2020年12月13日(2020年12月15日記事参照)、2021年1月5日(2021年1月12日記事参照)、1月19日(2021年1月25日記事参照)に発表されている各種制限措置は維持されるが、以下については緩和される。

  • 美容院・理髪店:3月1日から再開。衛生措置、予約制による入場制限、医療用マスクの使用が条件。
  • 店舗・各種施設:過去7日間の人口10万人当たりの新規感染者数が安定して35人以下となった場合、各州政府の判断により再開。小売業(20平方メートル当たり1人の顧客に制限)、博物館や美術館、身体の接触を伴うサービス業の再開が可能となる。
  • 文化施設、飲食店、宿泊施設など:これらの再開については、連邦政府と州政府が継続して調整する。

産業界からは、経済や営業の再開に向けた道筋がみえない、基準が不透明といった批判の声があがっている。ドイツ産業連盟(BDI)は、協議前日の2月9日に、「短期的な小規模な対策ではなく、エビデンスに基づく全国的に統一された新型コロナウイルス検査や学校閉鎖の基準策定などの政策と、経済を安全かつ公正に再開するための明確で中期的な道筋」を求めていた。しかし、10日の政府発表では、営業再開の緩和は各州の判断に委ねられる結果となった。BDIは翌11日に、これに対して不満を表明。あらためて、陸続きの欧州全土で感染拡大抑止に取り組むことが重要と指摘し、州政府と連邦政府のみならず、欧州委員会とも連携した欧州全体での対策を講じることで、経済の再開と活性化を図る重要性を訴えた。

ドイツ小売業連盟(HDE)も、営業再開のための安全で公正な営業再開の戦略と基準、さらには経済を再起動させる透明性のある計画が提示されていないとして、苦境にある小売業者に対するさらなる支援策を求めた。

メルケル首相と各州首相は、3月3日に再度の協議を行う予定。

(中村容子)

(ドイツ)

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