チェコ政府、3度目の非常事態宣言を発動

(チェコ)

プラハ発

2021年02月16日

チェコ内閣は2月14日、新型コロナウイルス感染状況が改善されないことに鑑み、3度目の非常事態宣言を発令した(2020年3月13日記事2020年10月2日記事参照)。期間は2月15日から2月28日までで、これにより、2月14日に終了した2度目の非常事態宣言から、間を置かずに継続されることになった。

2020年10月5日に発動され、5度延長された2度目の非常事態宣言(2021年1月25日記事参照)に関して、内閣はさらなる延長案を提議したが、2021年2月11日に下院がこれを否決したため、その期限である2月14日付での解除が決定した。しかし、内閣はその後、各州知事およびプラハ市長から成る州知事連盟と事態を検討し、その結果、同連盟の要請に応じるかたちで、新たな非常事態宣言の発令が決定された。

これにより、移動制限や営業制限などを定めた一連の緊急措置(2021年1月13日記事参照)の有効期限が全て2月28日まで延長された。ただし、以下のとおり細部について部分的変更がされた。

(1)移動制限

  • 自由な移動制限の例外事項に「法人の機関(役員会など)の選挙、会議のための移動」を追加。ただし、選挙、会議の参加者が10人を超える場合には、参加者に対してPCR検査あるいは抗原検査の陰性証明書の掲示、サージカルマスクあるいはそれ以上の効果を持つマスクの着用などが義務付けられる。また、会議の参加人数は最大50人に制限される(ただし法律で定められた義務履行のための会議の場合を除く)。

(2)公共機関(省庁、各種役所)の一般向け営業時間制限の撤廃

(3)小売り・サービス部門の営業制限

  • 図書館の窓口での貸し出し・返却を許可
  • 医療機関利用者およびその付添人の宿泊施設利用を許可

また、内閣は2月11日、感染状況が特に悪化している西ボヘミアの2県(ヘプ、ソコロフ)および東ボヘミアの1県(トルトノフ)の封鎖を決定し、県境を越えた移動を、通勤・通学、医療機関訪問など例外的な場合を除き禁止したが、この措置の有効期限も2月28日まで延長されている。

他方、州知事連盟は非常事態宣言発令要請の際、政府に対して8点から成る決議を提出した。その中で、3月1日から段階的に通学を再開させることを最優先事項に掲げているほか、小売り・サービス部門、文化、スポーツ部門においては、制限措置を感染状況に応じて臨機応変に決定し、必要な最低期間のみの適用となるよう改善を呼び掛けた。さらに、各企業が従業員に対して、独自にPCR検査あるいは抗原検査を実施することを可能にするため、それにかかる経費の支援を含む条件を3月1日までに整備することも要請している。

(中川圭子)

(チェコ)

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