チェコ政府、2度目の非常事態宣言の発動を決定

(チェコ)

プラハ発

2020年10月02日

チェコ内閣は9月30日、国内の新型コロナウイルス感染状況の急激な悪化(2020年9月24日記事参照)を受けて、2度目の非常事態宣言を行うことを決定した。1度目は3月12日に開始され、2度の延長を経て5月17日に終了したが(2020年3月13日記事2020年5月1日記事参照)、今回は10月5日午前0時から30日間、チェコ全土で適用される。

ロマン・プリムラ保健相は9月30日の記者会見で、「重要なのは、毎日の新規感染者数ではなく、入院患者数だ。本日のデータでは入院患者数が100人を超えており、この状況により、入院設備の需要が急増している」と現状を説明した。

同保健相は前日29日の記者会見で、「医療機関のキャパシティーは、国が措置を講じなければ10月下旬には限界に達する恐れがある」と警告しており、「こうした事態を避けるべく、全国一斉に抜本的な対策を導入するためには、法的権限の強化が必要。また、医療現場に必要に応じて医学生などを動員するためにも、非常事態宣言の発動は必須だ」と強調した。

感染防止措置の当面の具体的な目標としては、「現在の再生産数1.24の1未満への引き下げ」を打ち出している。

この目標達成を目指し、内閣は9月30日、新たな緊急措置を公布した。これにより以下の制限が10月5日付で発効し、18日までの14日間有効となる。

(1)集会人数制限

  • 原則、屋内は最大10人、屋外は最大20人を上限とする(ただし職場は例外)。

(2)飲食店内における制限

  • 単独のテーブルに着く客の数は最大6人。

(3)文化イベント制限

  • 歌が主要部分を占めるコンサート、オペラなどの上演禁止。
  • 歌が主要要素でない演劇や映画などに関しては、全員着席かつ2メートルの間隔の確保を前提に最大500人とする。会場内での飲食料販売禁止。

(4)スポーツイベントの制限

  • 一般の観客の会場への入場禁止。
  • 選手、大会開催関係者らの人数は最大130人。

(5)学校閉鎖、制限

  • 音楽の授業での歌唱の中止、体育の授業中止。
  • 国内感染警戒レベル(2020年9月24日記事参照)が「市中感染が拡大あるいは維持されている(赤)」、あるいは「初期段階の市中感染がみられる(黄)」に指定されている州においては、高等学校、大学で全面的リモート授業への移行を義務化。

(中川圭子)

(チェコ)

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