欧州中銀、政策金利を据え置き、現行の緊急対策も維持

(EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2021年01月22日

欧州中央銀行(ECB)は1月21日、ドイツ・フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、「新型コロナウイルス危機」への現行対策を維持する方針を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)を0.25%、預金ファシリティー金利をマイナス0.50%にそれぞれ据え置く。

「新型コロナ禍」での緊急対策の一環で導入されている資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」については、1兆8,500億ユーロの規模で2022年3月まで継続する姿勢を維持した。クリスティーヌ・ラガルドECB総裁は同プログラムについて、良好な資金調達状況を達成できる場合は、必ずしもこの上限額まで、資産購入を行わない一方、必要に応じて購入規模を再度調整する可能性も引き続き示した。なお、PEPPを通じて購入し保有する債券・国債の償還後の再投資については、少なくとも2023年末まで継続するとした。

ユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)での、月額200億ユーロ規模での債券・国債の購入や、前回の理事会で期間を延長した(2020年12月11日記事参照)貸し出し条件付き長期資金供給オペレーション(TLTRO-III:Targeted longer-term refinancing operations)も継続する。

復興基金「次世代のEU」の批准プロセス加速を求める

ラガルド総裁は今後の経済見通しについて、「ユーロ圏の成長見通しには依然として下振れリスクがあるが、以前ほどはっきりしたものではない」としつつ、「世界経済に関する見通し(の改善)、EUと英国の将来の関係をめぐる合意、新型コロナウイルスのワクチンの接種開始は励みになるものの、感染拡大が続いている現状やその経済や金融への影響が、引き続きダウンサイドリスクの根源となっている」とした。

さらに、ラガルド総裁は会見の中で、7,500億ユーロ規模の復興基金「次世代のEU」の重要性を強調(2020年07月21日記事2020年11月11日記事2020年12月15日記事参照)。加盟国に対し、批准プロセスの加速を促すとともに、復興計画を迅速に確定させ、生産性向上に資する政策に基づく伴う資金提供を実施するよう求めている。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

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