南ア保健相、新型コロナ変異種の確認を発表、冷静な対応を呼び掛け

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年12月22日

南アフリカ共和国のズウェリ・ムキゼ保健相は12月18日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、南ア国内の専門家チームが新型コロナウイルスの変異種「501.V2」を確認したと発表した。3月に国内で感染が拡大(2020年3月10日記事参照)して以降、同チームは数百の検体を分析しているが、直近過去2カ月は特定の変異種が増加し、多数を占めるようになっていると説明。さらに、併存疾患のない若年層で重症化するケースが増加しており、南アの感染拡大第2波の主たる原因が変異種であることを強く示していると述べた。

ムキゼ保健相は、同チームは分析結果を既に世界保健機関(WHO)と共有しているとともに、現在ロンドンを中心に英国で拡大している変異種(2020年12月21日記事参照)との類似性がみられるとして、英国政府にも警戒を呼び掛けたと述べた。

他方で、ウイルス変異種でパニックになる必要はないとし、これまでどおり政府が呼び掛けてきたマスクの着用、手洗い、ソーシャルディスタンシングの確保などの保健・衛生プロトコルを順守するよう国民に呼び掛けた。

ムキゼ保健相は記者会見の最後に、第2波に突入した直近数週間の新規感染者の大部分は若年層で、若い世代がマスクをせずに大規模なパーティーに参加し、感染を拡げていることに強い懸念を示し、互いの命を守るための責任ある行動を取るよう、若者に厳しく求めた。11月以降、高校生による大規模な卒業パーティーを機に若年層での感染が急拡大し(2020年12月15日記事参照)、政府は休暇シーズンを前に全土での制限強化実施を余儀なくされた(2020年12月16日記事参照)。

12月20日の新規感染者数は9,445人(感染者数累計92万1,922人)。1日当たり1万人前後の新規感染者が確認される状況が続くが、現地では今のところ、目立った経済活動への大きな影響や医療体制の崩壊などはみられない。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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