ウーバー運転手などのギグワーカーを独立請負人と定める提議、米加州住民投票で可決見込み

(米国)

サンフランシスコ発

2020年11月13日

米国カリフォルニア州で11月3日、アプリケーションを通じたライドシェアやフードデリバリーサービスに従事するドライバーを従業員の扱いから除外する提議(Proposition22)に係る住民投票が行われた。現地報道によると、同提議は賛成多数で可決される見通しだ(注1)。

同提議は、カリフォルニア州内でライドシェアやフードデリバリーを提供するドライバーなどのいわゆる「ギグワーカー」を独立請負人として定め、自由で柔軟な働き方を保護するとともに、現行の法令の下で与えられていない、次の法的保護やベネフィットをドライバーに付与する。

  • 従事した時間(注2)に基づく最低賃金補償(最低賃金の120%まで補償)
  • 医療保険補助(少なくとも週15時間以上働いた場合)
  • 仕事中のけがなどを対象とする労災保険
  • 仕事に使用する乗用車などにかかる諸費用の補償
  • 差別・セクシュアルハラスメントからの保護

カリフォルニア州では2020年1月から、「労働法などに関する改正法(雇用形態-従業員と独立請負人)」(AB5)が施行されている。同法は、自社のカリフォルニア州の労働者が3つの条件(注3)を満たさない場合には、労働者を独立請負人ではなく、従業員として扱うことを求めている(2019年9月13日記事参照)。同法をめぐっては、カリフォルニア州司法長官らが5月に起こした訴訟で、州上級裁判所が8月、ウーバーやリフトの同法違反を認め、両社にドライバーを従業員として扱うよう命じ、その後、州高等(控訴)裁判所も10月に同命令を支持する判断を下していた(2020年8月18日記事8月25日記事参照)。

Proposition22に関しては、ライドシェアサービスを提供するウーバー・テクノロジーズやリフト、フードデリバリーサービスを提供するドアダッシュ、ポストメイツなどのテック企業が推進の立場を取っていた。リフトは11月4日、同提議が承認される見通しであることを歓迎するプレスリリース発表し、提議の中で定められているベネフィットをドライバーに提供できる、と述べた。

(注1)州務長官の発表によると、11月12日時点で賛成58.6%、反対41.4%。現在も集計作業は続いており、最終結果は12月11日までに確定される予定。

(注2)原則、ライドシェアの依頼やフードデリバリーの注文をオンライン上のアプリケーションやプラットフォームで受けてから、サービスを完了するまでの時間。待ち時間などは含まれない。

(注3)(A)業務に関する契約下および実際に業務の遂行中に雇用主体の指揮命令系統にない、(B)通常の雇用主体の事業の範囲外の業務を行う、(C)従事している業務と同じ性質の独立した貿易、職業、ビジネスに慣習的に従事している。

(石橋裕貴)

(米国)

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