米カリフォルニア州上院委員会、独立請負人認定に関する改正案承認、ウーバーなどは反対

(米国)

サンフランシスコ発

2019年09月13日

米国カリフォルニア州上院委員会は8月30日、「労働法などに関する改正案(雇用形態-従業員と独立請負人)」(Assembly Bill5、以下、AB5)を賛成多数で承認した。今後、上院で可決され、州知事が署名すれば、法制化される(注1)。

AB5は、自社のカリフォルニア州の労働者が3つの状況〔(A)業務に関する契約下および実際に業務の遂行中に雇用主体の指揮命令系統にない、(B)通常の雇用主体の事業の範囲外の業務を行う、(C)従事している業務と同じ性質の独立した貿易、職業、ビジネスに慣習的に従事している〕のいずれでもなければ、労働者は個人請負人ではなく、従業員として分類することを求めている。労働者が従業員扱いになることで、個人請負人では得られない権利、雇用保険や労災補償などの便益を得られる一方で、雇用主の企業にとっては負担となる。

民主党大統領候補の1人、ジュリアン・カストロ元住宅都市開発庁長官はツイッターで、「100万人のカリフォルニアの人々に対して職場環境保護をもたらすAB5を支持する」などと発信している。同じく民主党大統領候補の1人のピート・ブッティジェッジ・インディアナ州サウスヘッド市長は8月27日にサンフランシスコのウーバー本社前で、「ギグワーカー(注2)ライジング」という労働者の権利保護を求める団体主催のデモに参加し、全ての労働者が権利や保護を受けるに値するなどと述べた。

他方、運転手を個人請負人として扱っているウーバーやリフト、ドアダッシュなどの企業は、運転手の柔軟性を維持すべきだと主張し、AB5に反対している。報道によると、これらの企業はAB5適用除外のための提案として、運転手について、個人請負人という就業形態を保ちつつ、最低賃金時給21ドルの保証や労災補償を含めた運転手へのベネフィット基金の設立などを認める方針を打ち出した。さらに、2020年11月の住民投票にかけるとして、9,000万ドル拠出すると表明している。

(注1)同改正法案は、2018年にダイナメックスの従業員の待遇をめぐる裁判でロサンゼルス上級裁判所が示した判決を明文化し、適用を明確にすることを意図している。

(注2)空き時間などを利用して単発の仕事を行う労働者。

(石橋裕貴)

(米国)

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