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トランプ米大統領、希少鉱物の敵対外国勢力への依存解消に向けた大統領令に署名

(米国)

ニューヨーク発

2020年10月06日

ドナルド・トランプ米国大統領は9月30日、希少鉱物を外国の敵対勢力に依存している状況を解消するための大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した。希少鉱物を過度に外国の敵対勢力に依存している状況について国家緊急事態法に基づく国家緊急事態を宣言し、内務長官に対し、60日後の11月29日までに「米国の健全性や成長、弾力性を害する経済活動を行う中国やその他の非市場的な外国の敵対勢力に対する関税や数量割り当て、その他の輸入制限措置を含む行政措置を提案するよう」指示している。

トランプ氏は希少鉱物の確保に関して、2017年12月に大統領令13817号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表しており、内務長官がそれに基づいて2018年5月に35の希少資源を特定している(注1)。その後、商務長官が2019年6月に「確実で信頼できる希少鉱物の供給を確保するための連邦政府の戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題する報告書を発表している。同報告書では対応策として、研究・開発の促進や国内サプライチェーンの強化、同盟国との貿易や資源開発に関する協力の促進などを挙げており、輸入制限措置は挙げていなかった。しかし、商務省は希少鉱物関連の輸入に関してこれまでに、1962年通商拡大法232条に基づく調査をウラン、スポンジチタン、バナジウムに対して行っている(注2)。

今回の大統領令では、希少鉱物の外国の敵対勢力への依存状況に焦点を当て、取り得る行政措置として、輸入制限措置を明示的に列挙した。35の希少鉱物のうち31に関しては国内消費の半分以上を外国からの輸入に依存しているとし、うち14の鉱物は国内での生産が全くないとしている(注3)。中でも、希土類(レアアース)は80%を中国から輸入しており、同国が2010年にレアアースの対日輸出禁止措置に踏み切った経緯も指摘し、その市場歪曲(わいきょく)的な動きに懸念を示している。

現時点では、内務省が60日後に大統領に行政措置を提案する前に、産業界などからパブリックコメントを求めるかは不明だが、2018年に35の希少鉱物リストを特定した際にはパブリックコメントを募集している。大統領令は輸入制限措置のほか、国内における希少鉱物の生産サプライチェーン拡大に関しても、補助金や融資プログラムなど含めた政策を検討するよう関連省庁に指示している。

(注1)内務省が特定した35の希少鉱物のリストは同省の2018年5月18日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。具体的には、アルミニウム(ボーキサイト)、アンチモン、ヒ素、バライト、ベリリウム、ビスマス、セシウム、クロム、コバルト、蛍石、ガリウム、ゲルマニウム、グラファイト(天然)、ハウニウム、ヘリウム、インジウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、ニオブ、白金族金属、炭酸カリウム、希土類元素、レニウム、ルビジウム、スカンジウム、ストロンチウム、タンタル、テルル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、ジルコニウム。

(注2)同条項は、特定製品の輸入が米国の安全保障に脅威となると大統領が判断した場合、大統領に輸入制限措置を取る権限を与えるもの。大統領は、ウラン輸入は脅威ではないと判断(2019年7月17日記事参照)、スポンジチタンは脅威と認定しつつも輸入制限措置を取らず(2020年3月3日記事参照)、バナジウムは商務省が現在も調査継続中(2020年6月4日記事参照)となっている。

(注3)当分析は2019年6月の商務省報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)8ページ目のデータを基にしているとみられる。

(磯部真一)

(米国)

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