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メキシコ競争力研究所が現政権の電力政策に警鐘

(メキシコ)

メキシコ発

2020年09月29日

民間の非営利研究機関のメキシコ競争力研究所(IMCO)は9月23日、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)現政権の電力政策を強く批判し、国の将来に重大な悪影響を及ぼすと警鐘を鳴らすプレスリリースを発表した。AMLO大統領が前日の22日に国立宮殿において、国家エネルギー規制委員会(CRE)、国家炭化水素委員会(CNH)、国家エネルギー管理センター(CENACE)の代表らと会談し、大統領が重視する17の優先事項(7月22日に大統領覚書として規制機関に送付済み、添付資料参照)について、その遂行を再確認させたことが背景にある。同会合では、国営企業の石油公社(PEMEX)と電力庁(CFE)を最優先し、現行法体系を改正することなく細則変更や運用方針を変えることで、市場における両国営企業の独占的地位を確固たるものとすることが再確認された。IMCOは、その合意の中で特に電力政策について問題視しており、以下の重大な悪影響を及ぼすとしている。

  1. CFEでは非効率な分野を補ってきた民間投資が失われる
  2. 電力調達価格の上昇
  3. エネルギー部門における現行法規違反の発生
  4. メキシコの国際協定違反行為とみなされる
  5. 緊縮財政の圧力がかかる中で歳出の効率性に悪影響を与える前提事項となる
  6. 環境や健康に対する市民の権利の侵害

電力調達コストや財政にとって損失が大きいと指摘

1.や2.については、国の電力需要から考慮すると、CFEの予算だけで国に必要な発電能力を構築するのは不可能で、それを補う民間企業の発電投資が不可欠なこと、CFEの発電コストよりも民間の発電コストの方が低く、民間企業の発電する電力の調達はCFEにとっても電力調達コスト低減につながる(2020年3月24日付地域・分析レポート参照)と主張している。3.については、CFE優遇策(2020年5月7日記事5月18日記事参照)は、現行法体系に違反すると主張する。実際、民間事業者や環境団体、連邦経済競争委員会(COFECE)が提訴した裁判において、政権側が多くで敗訴している。4.については、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)や米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)において、電力部門の開放を約束しているメキシコにとっては、国際協定違反となり得る問題としている。

5.については、本来、民間投資が効率的な分野については民間に任せ、CFEは送配電分野に特化して投資を行う方が国の効率的な歳出につながるが、発電分野でもCFEを優先するという足かせが加わることにより、財政にも悪影響を与えると警告する。6.については、民間部門が得意とする再生可能エネルギー発電に制限を設けることで、より良い環境や健康を求める市民の権利を侵害すると主張している。

9月22日の会合では、CREなどエネルギー規制機関が大統領の方針を尊重することを再確認したが、許認可付与の合法的プロセスに照らし合わせれば、これら規制機関は法律違反を犯す可能性が高くなる。9月23日にはCENACEのアルフォンソ・モルコス総裁が辞任したが、現政権下でエネルギー規制当局の高官が既に11人辞職しており、法律に違反して規制当局としての使命に背くよりは、辞任を選んだ結果、と報じられている(「レフォルマ」紙9月25日)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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