ASEAN製造業、長引く海外需要減の影響受ける

(ASEAN、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポール、ミャンマー)

ジャカルタ発

2020年09月09日

IHS MARKITは9月1日、ASEAN主要7カ国(注1)の8月の製造業購買担当者景気指数(製造業PMI)(注2)をウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表した(添付資料図参照)。ASEAN平均の製造業PMIは49.0と、前月の46.5を上回った(2020年8月12日記事参照)。統計開始以来の最低値を記録した4月(30.7)から4カ月連続で数値は上昇しているが、景気拡大の判断目安となる50にはいまだ届いていない。同社エコノミストのルイス・クーパー氏は「生産量や新規受注数は4月と比較すると大幅に改善された」とする一方、「各国で実施され続けているロックダウンの影響で、ASEAN製品に関する外需の低迷が続き、輸出向けの受注が著しく低調だ」と分析する。

ベトナムは45.7だった。同国の2020年上半期(1~6月)のGDP成長率は前年同期比1.81%(推計値)と、周辺国ではマイナス成長が目立つ中、プラス成長を毎月維持している(2020年8月31日記事参照)が、製造業PMIは2カ月連続で悪化した。報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは「生産量と新規受注数が落ち込んでおり、特に、輸出向けの受注に関する数値が悪化している」と指摘する。6月、7月と50以上に回復したマレーシアは、生産量は安定しているものの、輸出向け受注の減少もあり、8月は49.3に下降した。マレーシアの2020年上半期の輸出額は前年同期比6.8%減の4,490億リンギ(約11兆2,250億円、1リンギ=約25円)で、全体の37.1%を占める電気・電子製品が1,664億リンギと前年同期比8.5%減少となっている(2020年8月28日記事参照)。

インドネシアは50.8で、景気拡大の目安となる50を2020年2月以来初めて超えた。スリ・ムルヤニ財務相は現地メディアの取材に対し、「第2四半期(4~6月)のGDPは前年同月比マイナス5.32%(2020年9月1日記事参照)だったが、今後の経済は回復基調と見込んでおり、製造業の状況も同様に改善されていくものと予想する」と述べた(CNBCインドネシア9月1日)。

(注1)インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマーの7カ国

(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(上野渉、シファ・ファウジア)

(ASEAN、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポール、ミャンマー)

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