第2四半期のGDP成長率、前年同期比でマイナス5.32%に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年09月01日

インドネシア中央統計庁(BPS)は8月5日、2020年第2四半期(4~6月)のGDP成長率を前年同期比マイナス5.32%と発表した(添付資料図参照)。GDP成長率が前年同期比でマイナス成長になるのは、アジア通貨危機の影響を受けた1999年以降で初めて。事前に、インドネシア政府と中銀が予想していたマイナス4.3~4.8%を越える下げ幅となった。なお、2020年第1四半期と比べた成長率はマイナス4.19%だった。

BPSの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、第2四半期の支出面のGDP成長率は、全ての項目で前年同期比マイナス成長となった。GDPの約58%を占める家計消費支出がマイナス5.51%だったほか、GDPの約31%を構成する総固定資本形成(注)はマイナス8.61%、公的支出もマイナス6.90%となった。輸出(マイナス11.66%)と輸入(マイナス16.69%)はともに2桁のマイナス成長になった。また、マンディリ銀行のレポートによると、家計消費支出のうち、特にホテル・レストランへの支出は16.53%減少した一方で、健康・教育への支出は2.02%増加するなど、新型コロナウイルス対策として導入された、大規模社会制限(PSBB)の影響を反映した数字となった。

生産面では、GDPの約2割を占める製造業の成長率が、前年同期比マイナス6.19%だった。このほかに大幅なマイナス成長となった項目は、運輸・倉庫(マイナス30.84%)と宿泊施設・飲食(マイナス22.02%)だった。他方、こうした中でも、情報通信分野は10.88%のプラス成長になった。経済金融開発研究所(INDEF)シニアエコノミストのディディク氏は「高い成長率が期待できる情報・通信、さらに医療や教育分野が伸びれば、経済回復が期待できる」とする(「テンポ」紙8月6日)。

地域別では、マルク諸島・パプア島を除き、全ての地域がマイナス成長に転じた。特に、GDP全体の約6割を構成するジャワ島は、マイナス6.69%となった。首都ジャカルタのGDP成長率は、PSBBによる経済活動の制限とそれに伴う需要減少が要因となり、マイナス8.22%になった(資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

インドネシアの証券会社バハナ・セクリタスのシニアエコノミスト、サトリア氏は「第3四半期もマイナス成長が継続するものの、下げ幅はマイナス2.9~1%台に縮小すると予測する」とし、さらに「農業分野については、第2四半期までに収穫期が終わるので、第3四半期に高い成長は見込めない。代わりに、コモディティ(天然資源など)の価格上昇や政府の補助金により、購買力は上昇するのでは」との見方を示す(「テンポ」紙8月7日)。

ジョコ・ウィドド大統領は「国内消費の増加、およびPSBBの緩和により、第3四半期からは経済成長の回復が見込まれる」と述べた(CNBCインドネシア8月9日)。

(注)民間法人、公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体および家計(個人企業)が、新規に購入した有形または無形の資産。

(デシー・トリスナワティ、上野渉)

(インドネシア)

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