米商務省、輸出管理における「基盤的技術」の特定に向けパブコメ募集

(米国)

ニューヨーク発

2020年09月01日

米国商務省・産業安全保障局(BIS)は8月27日、2018年輸出管理改革法(ECRA)で義務付けている「基盤的技術(foundational technologies)」の特定に向けて、産業界などからパブリックコメントを求めると官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示した。コメントは、連邦ポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで10月26日まで受け付けられる(注1)。

ECRAでは、米商務省に対して「新興技術(emerging technologies)」と「基盤的技術」を特定した上で、米国輸出管理規則(EAR)の下、輸出、再輸出、国内移転に関して適切な管理体制を構築するよう求めている。当該手続きは、省庁横断で進めるべきとしており、米国の安全保障への影響に加えて、(1)外国における基盤的技術の開発状況、(2)輸出管理が米国における基盤的技術の開発に与える影響、(3)基盤的技術の外国への拡散を制限する輸出管理の有効性も考慮すべきとしている。

「新興技術」は「基盤的技術」に先駆けて、2018年11月から2019年1月までパブコメが募集され、その際にはBISがあらかじめ対象となり得る14の技術分野を例示・列挙していた(2018年11月22日記事参照)。その後、BISは2020年1月に地理空間画像分析用の人工知能(AI)技術を新たな輸出管理対象に加えている(2020年1月9日記事参照)。専門家によれば、技術分野を広く定義するのではなく、特定の技術を個別に管理対象へ加えるかたちで、今後も発表されるとみられる。

今回の「基盤的技術」に関して、技術分野の列挙はないが、BISは含まれ得る技術として、EARのパート744補足2外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで軍事用途、軍事最終需要者を理由に管理している品目を挙げている。それらには、半導体製造装置や関連ソフトウエアツール、レーザー、センサー、水中システムなど、中国、ロシア、ベネズエラにおける独自の軍事技術の開発に資する恐れのある品目が含まれるとしている(注2)。また、「基盤的技術」には「技術」のみならず、「物品」と「ソフトウエア」も含むとしている。

BISは、次の8点に関して重点的にコメントを求めるとしている。

  1. 管理対象品目を特定するために、いかに基盤的技術を定義付けるべきか
  2. 管理対象品目を特定する上での情報源
  3. EARの規制品目リスト(CCL)上、反テロ(AT)規制で指定されている、もしくはEAR99(CCLに掲載されていない全ての品目)に分類される品目が、米国の安全保障に不可欠か否かを判断するための基準
  4. 米国および外国での基盤的技術の開発状況
  5. 特定の基盤的技術の管理が米国における当該技術の開発に与える影響
  6. 技術ベースの管理ではなく(もしくはそれに加えて)、最終使用目的か最終需要者ベースでの管理の実施事例
  7. 工作機器や試験機器、認証装置など基盤的技術に含めるべき実現技術
  8. 基盤的技術を特定する上でのその他のアプローチ

(注1)郵送の場合は、案件番号RIN 0694-AH80を付記した上で、下記まで送ることになっている。

Regulatory Policy Division, Bureau of Industry and Security, U.S. Department of Commerce, Room 2099B, 14th Street and Pennsylvania Avenue NW, Washington, DC 20230

(注2)BISは2020年6月に、中国、ロシア、ベネズエラへの輸出管理を厳格化しており(2020年5月7日記事参照)、EARのパート744補足2に掲載されている品目はこれら3カ国を念頭に輸出管理がされている。

(磯部真一)

(米国)

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