医療機器規制を改正、2021年から適用のEU規制と整合性を取る

(スイス)

ジュネーブ発

2020年07月13日

スイス連邦参事会(内閣)は7月1日、医療機器政令(MeDO)の改正などを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EUにおける医療機器規制の見直し〔医療機器指令(MDD)から医療機器規則(MDR)などへの移行〕(2018年3月31日調査レポート参照)との整合性を取るためにスイス国内法令を改正したもの。

医療機器がスイスとEUとの間で相互に自由に市場アクセスできるためには、医療規制の相互承認協定(MRA)が必要となる。スイスはEUとの第1次バイラテラル協定の一部としてMRAを締結(2002年発効)していたが、上述のEU側の医療機器規制見直しに伴い、スイス側の規制の整合化とMRAの更新が求められていた(2020年3月3日記事参照)。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、EU側での医療機器規制の適用開始が1年延期された(2020年4月30日記事参照)ことから、スイス側では対応までの期限に猶予ができたものの、EU側でMDRなどの適用が開始される各期限までに新規制を以下のとおり順次施行していく。

  • ベースとなる医療機器法(TPA)と生体研究法(HRA)は2019年3月に改正済み。それに基づく政令などについてはEU側と同期して施行。
  • 改正した医療機器政令(MeDO)により、メーカーに対しリスクの高い製品に対する適合性外部評価手続き導入と市場流通する医療機器の監視強化を義務付け(2021年5月26日施行、一部は2020年8月1日施行)。
  • インビトロ試験(注)用医療機器に関する政令を創設(2021年夏ごろ国内審議予定、EU側2022年5月26日施行)。

ただし、国内法令の改正が完了しても、医療機器分野のMRAの締結には、市場アクセス関連の交渉が難航しているEU・スイス間の制度的条約の締結(2019年6月17日記事参照)が必要となる。

(注)インビトロ試験とは、試験管や培養器環境で人体に由来する試料に対して行う試験のこと。生理学的、病理学的な状態把握や治療手段の判断などのため行われる。

(和田恭)

(スイス)

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