EU、医療機器規則の適用開始を1年延期

(EU)

ブリュッセル発

2020年04月30日

EU域内で流通する医療機器に関する医療機器規則2017/745外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの適用開始を1年間延期する改正規則2020/561外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが4月24日付EU官報で公布され、即日適用が開始された。現行法である医療機器指令93/42外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2020年5月26日に失効し、同日以降に医療機器をEU市場に流通させる場合は、医療機器規則2017/745に基づく審査が必要となる予定だった(注)。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、一部の必須医療機器の需要が拡大。今回の適用開始を延期する改正は、医療機器規則2017/745の実施開始によって審査を実施する適合性評価機関や公的機関の審査能力がひっ迫し、必須の医療機器が不足したり、入手に時間がかかったりすることを防ぐために行われた。改正規則2020/561によって医療機器規則2017/745の適用開始は2021年5月26日まで延期され、それまでの間は、引き続き現行法の医療機器指令93/42が適用される。

欧州委員会は、新型コロナウイルスの感染拡大により医療資源と必須の医療機器の必要性が一段と拡大した現在の状況は、医療機器規則2017/745が採択された時点では予見されていなかったと指摘。感染拡大が医療機器規則2017/745の対象製品に与える影響は大きく、加盟国政府や医療機関、企業などが予定通りに2020年5月26日から同規則の要件を導入・実施することが出来なくなる可能性が高いと判断した。なお、今回の改正は、欧州委が4月3日に法案を提示してから、わずか3週間での適用開始となった。

(注)医療機器指令93/42から医療機器規則2017/745への移行についてはジェトロ調査レポート「欧州医療機器規則Medical Device Regulation(MDR)概要PDFファイル(431KB)」参照。

(村岡有)

(EU)

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