6月の自動車販売は3カ月連続で増加、商用車が牽引

(中国)

上海発

2020年07月16日

中国自動車工業協会(CAAM)が7月10日に発表した6月の自動車販売台数は230万台と、前年同月比で11.6%増になった。4月以降、3カ月連続で前年同月比増加となり、特に直近2カ月は2桁の増加で堅調だった。

内訳をみると、乗用車が1.8%増の176万4,000台と2カ月連続で増加だったものの、増加幅は5月より5.2ポイント減少した。一方、商用車は63.1%増の53万6,000万台となり、4月に記録した53万4,000台を上回る過去最高の販売台数だった(2020年5月14日記事参照)。新エネルギー車については、6月の販売台数は33.1%減の10万4,000台で減少幅が5月より9.6ポイント拡大し、引き続き回復する兆しはみられない。

7月10日に行われたCAAMの記者会見によれば、中国経済は製造業や消費市場の回復傾向が続いており、主要インフラプロジェクトも加速するなど経済状況全体でも改善が続いている。また、各地での自動車消費刺激策の継続的な実施により、自動車市場は予想以上の回復をみせているとしている。上海市ではナンバープレートの発給枚数を増やし(2020年4月30日記事参照)、広東省では農村部住民が新エネルギー車を購入する場合に補助金を支給する(2020年5月8日記事参照)など、各地で実施されている自動車消費刺激策が自動車販売を後押ししているものとみられる。

一方でCAAMは、海外市場の需要が回復していない、各地の自動車消費刺激策が終了すれば、自動車の需要が減少する可能性もある、とした。中国の自動車販売台数全体に占める輸出の割合は小さいものの、2020年1~5月には37万7,000台を輸出しており、上海汽車など、輸出にも力を入れようとしている自動車メーカーにとっては、海外需要の減少により一定程度の影響があるものとみられる(2020年6月15日記事参照)。

2020年上半期の自動車販売台数は前年同期比16.9%減の1,025万7,000台で大幅なマイナスになっているが、減少幅は5月時点より5.7ポイント改善した。CAAMは2020年の自動車販売台数について、下半期に国内外で新型コロナウイルスの感染拡大が効果的に抑制される場合は10%前後の減少、中国以外で感染拡大が継続し効果的な抑制がされなければ20%減になるとの見通しを発表した。

(高橋大輔)

(中国)

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