グアナファト州政府が経済活動再開に向けた計画を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2020年05月26日

日系企業の進出がメキシコ国内で最も多いグアナファト州のディエゴ・シヌエ・ロドリゲス知事は5月25日、新型コロナウイルスの感染を抑制しつつ経済・社会活動を再開していく同州の計画を発表した。連邦政府(2020年5月15日記事参照)やメキシコ市政府(2020年5月21日記事参照)と同様に信号システムによる段階的な活動再開を行うが、色の基準は独自のものだ。また、独自の措置として、工業用や医療用の履物と制服の製造を「サプライチェーン-バックアップ活動」として赤信号の下でも操業を認める。

信号の色は、赤、橙(だいだい)、黄色、緑の4種類で、新型コロナの新たな感染者数、死亡数の減少度合い、重度呼吸機能障害による人工呼吸器の利用率、病床の利用状況に基づき総合的に判断し、毎週変更する。信号の色に応じて活動が制限されるが、経済活動については連邦政府が定める「不可欠な活動」とは別に「サプライチェーン・バックアップ活動」の分類を設け、産業用・医療用の履物および制服および同サプライチェーン、リスクが低いサービス(士業など)、卸売業、ビジネスサポートサービス、レストラン・ホテル(宿泊)、小売業、ショッピングセンターの活動を信号の色に応じて段階的に認める。詳細は添付資料を参照。

同時に経済活性化策も発表

ロドリゲス知事は信号による活動制限に加え、新型コロナウイルス感染の影響で冷え込んだ経済を活性化させる「GTO行動計画」を発表した。民間資本も活用しながら、州の歳出を経済効果・雇用創出効果の高いインフラプロジェクト(高速道路・主要幹線道路の近代化、鉄道バイパスの整備など)に優先配分するとともに、2021年度予算として負債の増加を覚悟してでも経済活性化に向けた予算を組むとしている。また、州の税収確保に向け、2022年以降、州の事業税である給与税(注)の税率を2.3%から3.0%に引き上げることを提案している。

同州の計画は、民間部門との対話を基に作成したものとし、州議会の了承を得た上で、州の負債の増加を覚悟してでも経済活性化に取り組むという点で、債務拡大につながる対策を拒絶する連邦政府の方針とは一線を画す。また、連邦政府が再生可能エネルギーの活用に消極的(2020年5月7日2020年5月18日記事参照)であり、また、科学技術振興や起業家支援の信託を取り潰してでもその資金を専ら弱者救済など福祉政策に充てる方針とは対照的に、グアナファト州としては再生可能エネルギーの利用促進と州経済の競争力強化に向けた研究開発・起業支援を強化する方針を掲げている。

(注)企業の給与総額(ペイロール)を課税標準に設定する州の事業税。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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