中国関税税則委、対米追加関税の適用除外措置対象79品目のリスト発表、ハイテク設備のコア部品など対象

(中国、米国)

北京発

2020年05月18日

中国の国務院関税税則委員会は5月12日、米国原産の輸入品に課している追加関税措置について、適用除外とする品目の第2期第2弾として79品目のリストを発表した。HSコード8桁ベースでは79品目(一部重複品目あり)が対象となるが、実際の適用除外対象はHSコード8桁以下の商品名称に基づく。

具体的には、医療用消毒剤などの防疫物資のほか、フライト・データ・レコーダーやレアアース鉱石、各種ハイテク設備のコア部品などが含まれた。これらの品目につき、5月19日から2021年5月18日まで、中国が米国の通商法301条に基づく措置への対抗措置として課している追加関税を徴収しない。

第1期と第2期の適用除外リストに含まれなかった品目については、「税委会公告〔2019〕2号」に基づき、適用除外(市場化買い付け)措置を申請することができる(2020年2月26日記事参照)(注1)。

今回のリストの2017年の対米輸入実績の上位10品目は添付資料表参照。このリストは財政部のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

リストに掲載された品目については、既に賦課した追加関税額の還付を受けることができるが、関連の輸入企業はリスト公表の日から起算して6カ月以内に、規定に従って税関に申請し手続きを行わなければならない。

米中第1段階合意の輸入額目標達成への影響は限定的

リストに含まれた品目の合計輸入額が2017年の中国の対米輸入実績に占める割合をみると、2.33%となった(注2)。2017年の対米輸入実績は米中第1段階合意で定められた中国の追加輸入額目標の基準となるが、同リストの品目が占める割合は限定的だ(2020年1月17日記事参照)。

なお、サプライチェーンの断絶リスクを低下させる意図があるとの指摘がある。リストの中には、ハイテク設備のコア部品が数多く含まれているほか、集積回路産業のコア部品や原材料が含まれている。その背景として、工業情報化部賽迪規画研究所の趙芸芸副所長は「特に電子情報産業では、川上に位置する集積回路や電子材料などの生産が、新型コロナウイルス感染症の影響が比較的深刻な米国やオランダ、日本、韓国などに位置している」ことから、「感染症の発生後、中国が一部分野のハイテク設備やコア材料、コア技術の供給の断絶というリスクに直面した」と指摘した(「21世紀経済報道」5月12日)。

(注1)これまで発表された主な適用除外措置については、以下を参照。

(注2)HSコード8桁ベースで機械的に集計した値。実際の除外措置は、HSコード8桁以下の商品説明によるものが含まれるため、割合はさらに小さくなる可能性がある。

(藤原智生)

(中国、米国)

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