9割弱の企業が売上高減少と回答、ロックダウンが生産や物流にも影響

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年04月24日

南アフリカ共和国統計局は4月21日、「新型コロナウイルス拡大によるビジネス・インパクト調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の結果を発表した。南アでは3月27日から実施のナショナル・ロックダウン(外出禁止、2020年3月26日記事参照)が4月30日まで延長され、食品や医療など政府が指定する「必要不可欠」な財やサービスの供給以外のビジネス活動は制限を受けている(2020年3月27日記事参照)。今回の調査はロックダウンの影響を評価できるよう、3月30日~4月13日にかけて実施され、南ア国内企業707社が回答した。調査結果の主なポイントは以下のとおり。

  • 85.4%の企業が売上高は正常範囲以下(減少)と回答
  • 46.4%の企業が一時的な閉鎖、もしくは取引活動を停止
  • 36.8%の企業が今後2週間以内に人員削減予定、19.6%が一時解雇を実施
  • 30.6%の企業が売上なしでは1カ月以上事業を継続できないと回答
  • 38.2%の企業が政府の経済支援策に申請中(2020年4月14日記事参照

また、約4割の企業が「輸入に影響が生じている」「必要な財・サービスを確保できない」と回答するなど、ロックダウンが物流・生産活動に影響を及ぼしていることが明らかになった。さらに、65.0%が2008~2009年の経済危機と比べても悪影響はより深刻になると予想したほか、43.0%が「現在の労働力はビジネスの需要に見合っていない」とするなど、今後の労働者の雇用継続の問題も含め操業に不安を抱えている様子だ。

失業率が29.1%(2019年第4四半期)にも上る南アでは、新型コロナウイルス拡大、ロックダウンの影響により失業がさらに増加するとの不安が広がっている。社会不安のさらなる増大につながることから、政府は総額400億ランド(約2,280億円、1ランド=約5.7円)の失業保険基金(UIF)の予算を確保し、雇用者を支援するなど対応に躍起だ。国内ではロックダウンが終了する予定の4月30日以降の段階的な経済再開措置の発表に注目が集まっている。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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