大統領、ロックダウンの2週間延長と今後の戦略を発表

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年04月14日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は4月9日、国民演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、3月26日深夜から実施されているナショナル・ロックダウン(4月16日まで21日間の外出禁止、2020年3月27日記事参照)の2週間延長を発表した。これによりロックダウンは4月30日まで延長されることとなった。南ア政府はロックダウン以降、全ての国際・国内旅客便の運航を禁じているほか、政府が指定する食品や医療などの必要不可欠な財・サービスの購入や、それらの提供以外の目的の外出を禁じており(南ア政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、警察と国軍が監視にあたっている。

ラマポーザ大統領は、3月27日にロックダウン開始後に初めて行った国民演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2020年4月3日記事参照)時点から、国内の感染者数は1,170人から1,934人(4月9日時点)に増加したものの、ロックダウン開始後の感染者の伸び率は1日平均4%で、開始前の42%から大幅に低下したと説明した。しかし、ロックダウンを早急に終了してしまうと、大規模かつ制御不能な感染拡大を招く恐れがあることから、慎重な検討の結果、国家コロナウイルス指令評議会が延長を決定したと述べた。

その上で、今後進める3つの戦略として、1.感染拡大スピードの鈍化と感染者数減少に向けて徹底的な公衆衛生対応、2.新型コロナウイルスにより被害を受けた企業・個人を支援するための包括的な経済支援パッケージ、3.貧困・脆弱(ぜいじゃく)な世帯を守るためのさらなる社会的支援プログラム、を挙げた。

経済支援については、ロックダウン期間中に働けない雇用者を支援し、失業を回避すべく、総額400億ランド(約2,400億円、1ランド=約6.0円)の失業保険基金(UIF)の予算を確保し、また産業開発公社(IDC)も必要不可欠な医療品調達のため30億ランドを確保しているとした。そのほかにも食料供給に貢献する小規模農家に対する総額12億ランドの支援、小企業金融庁(SEFA)が支援する中小企業からの債務返済の6カ月間延期、準備銀行による政策金利の引き下げ、さらに人工呼吸器の国産化プロジェクトの立ち上げを発表した。

厳しい外出制限が続く南アでは、ロックダウン期間中も食料などの生活必需品の供給は安定的に行われており、大きな混乱は見られないが、一方で南アに残留する英国、米国、ドイツ国民らのチャーター便での本国退避が始まっている(「デイリーマーベリック」4月9日)。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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