新型コロナウイルスの影響でインフレ減速、原油価格や個人消費の低迷が原因

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月13日

フィリピン統計庁(PSA)は3月7日、2月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が2.6%となり、3.8%を記録した前年同月や2.9%を記録した前月から減速したと発表した。

中国・武漢市を発生源とする新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大を受け、航空便の運休や工場の停止などが相次いだことで、世界全体の原油需要が減退し、原油価格の低下につながっている点に加え、周辺のASEAN諸国と比較するとフィリピンの感染者数は少ないものの、2月に入りフィリピン保健省(DOH)が多くの出席者を集めて実施するイベントの開催を自粛することや、国民にそうしたイベントへの出席を自粛することを要請(2020年2月19日記事参照)するなど、国民の間で不要な外出自粛の動きがみられ、消費が減退することにより市場価格が低下したものと考えられる。

インフレが減速した要因として、CPIバスケットの32%を占める食品・非アルコール飲料のインフレ率が2.1%と、前年同月の4.7%から2.6ポイント低下したことが挙げられる。そのほか、住宅・水道光熱費(1.7%、前年同月比2.0ポイント減)、余暇および文化(1.5%、1.6ポイント減)、レストランおよび雑品(2.6%、1.4ポイント減)、医療(2.9%、1.3ポイント減)といった品目も低下した。

2018年1月1日施行の税制改革法第1弾による物品税の増税(2018年3月27日記事参照)や、世界的な商品市況の高騰基調も重なり、2018年通年のインフレ率は5.2%の高水準になったが、その反動で2019年は通年で2.5%と物価は安定していた。フィリピン開発予算調整委員会(DBCC)は2019年12月、2020年から2022年までの3年間のインフレ率の目標を2~4%に据え置くと発表している(2020年1月10日記事参照)。

表 フィリピンのインフレ率推移

(坂田和仁)

(フィリピン)

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