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20年ぶり税制改革、自動車やガソリンなどが増税に

(フィリピン)

マニラ発

2018年03月27日

政府は1月、20年ぶりとなる税制改革法を施行した。財務省が発表した税制改革の詳細となるパッケージ第1弾では、自動車、石油製品、石炭、鉱物、加糖飲料、たばこなど物品税を増税する一方、富裕層を除く個人所得税については減税を行う。これにより政府は2018年に約900億ペソ(約1,800億円、1ペソ=約2.0円)の税収増を見込んでいる。

増税が新車販売台数に影響

内国歳入庁(BIR)は1月15日、自動車物品税に係る歳入規則を発布し、2017年まで2%だった最低税率を4%に引き上げた。同水準は販売価格60万ペソ以下の場合に適用される。一方で60%だった最高税率を50%に引き下げた(表1参照)。おおむね減税となるが、販売台数が多い低価格帯は増税となる。新税率は1月1日にさかのぼって適用されている。なお、電気自動車は物品税が免除、ハイブリッド車は適用税率の50%が課税となる。

フィリピンの新車販売台数はここ数年右肩上がりで増えている。特に物品税の増税前の駆け込み需要が多く、2017年12月は前年同月比33.4%増のとなる4万5,494台となり、通年でも前年比17%増の47万3,925台となった。増税が適用された2018年1月は前年同月比4%増の3万台強と、前年同月の28%増から大幅に減るなど、増税が新車販売台数に影響を与えている。

表1 自動車の物品税改正内容

非課税だったディーゼルも対象

ガソリン、ディーゼルなど石油製品の物品税も増税となった。ガソリンの物品税は1リットル当たり4.35ペソだったが、2018年は7ペソ、2019年は9ペソ、2020年は10ペソとなる(表2参照)。ディーゼルは物品税を免除されていたが、2018年は2.5ペソ、2019年は4.5ペソ、2020年以降は6ペソ課税される。増税に加え、昨今のペソ安と原油価格の上昇も影響しており、2016年当初に1リットル当たり0.8ドル弱だったガソリン価格が、2018年1月には1.0ドルに上昇している。

表2 ディーゼル、ガソリンの物品税改正内容

石炭の増税で電力料金値上げ

国産および輸入の石炭とコークスも、2017年末までの1トン当たり10ペソから50ペソ引き上げられた。2019年に100ペソ、2020年以降は150ペソになる予定だ。フィリピンでは全発電設備容量の35%を占める7,538メガワット(MW)を石炭に依存しており、これは2位の石油(16.6%、3,584MW)、3位の天然ガス(15.9%、3,431MW)を大きく引き離している。一方で、電力料金を抑えるための政府補助制度などが無いことから、他のASEAN諸国などと比べて価格が高い。ジェトロが2017年11月に実施した「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によれば、経営上の問題点として「インフラの未整備」を挙げた企業が62%に上り、その多くの企業が電気料金の高さを指摘した。今回の税制改革では、配電事業者が送電事業者に支払う送電サービス費用への付加価値税の課税が復活しており、石炭などへの増税も重なり、当地報道によると電気料金は1キロワット(kW)当たり0.08ペソ値上げされる見込みとのことだ。

ジェトロは3月5日から7日まで、フィリピン市場での省エネ製品・サービスの販路開拓を目指す日本企業17社と、当該製品・サービスの導入・取り扱いを希望するフィリピン企業約50社の商談会をマニラ首都圏および近隣地域で実施した。地場の大手企業も多数参加し、300件近い商談が実施され、そのうち約110件が成約を見込むなど、優れた省エネ技術への関心の高さがうかがわれた。商談会に参加したフィリピン企業からは「自社工場の電気料金を削減するために、省エネ技術を積極的に活用したい」といった声が多く寄せられた。

金属鉱物および非金属鉱物の物品税は、国産品が採取時の市場価格の2%から4%に、輸入品は関税局(BOC)の課税価格の2%だったのが4%に、それぞれ引き上げられた。フィリピンは世界有数のニッケル生産国で、コバルトや銅なども産出されるだけに、鉱業、輸入品を含めた鉱石加工業などへの影響が懸念される。

加糖飲料やたばこも

これまで物品税が非課税だった加糖飲料について、1月から高果糖コーンシロップ(HFCS)を含む飲料には1リットル当たり12ペソが、HFCS以外の甘味料を使用した飲料は6ペソが課されている。加糖飲料への課税分は、貧困層の救済プログラムや医療保険(フィルヘルス)の財源として充てられる予定だ。2017年、中国からコーンシロップを約30万トン輸入したフィリピンは、中国にとって最大のコーンシロップの輸入国だったが、HFCSが課税対象となったことから、課税対象外である国産砂糖への切り替えを行った飲料メーカーもある。

たばこ製品は1箱当たり30ペソだったのが、2018年1月から6月末は32.5ペソ、7月1日~2019年末は35.0ペソ、2020年1月~2021年末は37.5ペソ、2022年1月~2023年末は40.0ペソとなり、2024年以降は毎年4%ずつ引き上げられる。

なお、フィリピンの税制の詳細についてはジェトロウェブサイトPDFファイル(509KB)にて確認のこと。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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