乗用車生産、2019年は前年比微減、足元では新型コロナの影響を受け生産に制限

(ロシア)

モスクワ発

2020年03月31日

自動車専門調査会社アフトスタトによると、ロシアの2019年の乗用車生産台数は前年比2.7%減の約151万台となり、3年ぶりに前年比マイナスに転じた。このうち、ロシアブランド車は1.5%減の約31万台、外国ブランド車は3.0%減の約120万台だった。2019年からの付加価値税引き上げや景気低迷による自動車販売市場の減速(2020年1月22日記事参照)、米国大手フォードの乗用車生産撤退(2019年3月28日記事参照)などの影響を受けたものとみられる。

メーカー別では、生産台数上位10社の順位に変化はなかった(添付資料参照)が、上位2社のロシア最大手アフトワズ、現代は前年比減に転じた。アフトワズは、2018年10月に日産「アルメーラ」の受託生産を終了している。現代は、カリーニングラード州の自動車組み立て会社アフトトルでの「起亜」や「現代」ブランドの受託生産は前年より増加した。外国メーカーでは、フォルクスワーゲン(VW)、ルノー、トヨタ、PSAプジョーシトロエン・三菱自動車(PCMA)が2018に引き続き、増勢を維持した。ロシアメーカーでは、商用車大手のガズがVWグループの「シュコダ」ブランドの製造を増やした。

そのほか、ドイツ大手ダイムラーが、モスクワ州で2019年4月から「メルセデス・ベンツ」Eクラスの生産を開始(2019年4月8日記事参照)したほか、中国大手の長城汽車が、トゥーラ州で2019年6月からスポーツ用多目的車(SUV)ブランド「ハバル」の生産を開始している。

2020年の生産見通しについては、2019年に続き前年比減となる見込みだ。アフトスタトは2020年3月時点で、2020年の乗用車生産台数を126万台(前年比16.6%減)から142万台(6.0%減)と予測している。

景気低迷による消費落ち込みに加え、2020年初から世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大も、今後のロシアの自動車生産・販売に悪影響を及ぼしている。カルーガ州政府によると、VWが欧州工場からの部品供給不足により3月30日から4月10までロシアでの生産を停止するほか、PCMAも同様の理由により4月1日から10日まで「プジョー」「シトロエン」「オペル」ブランドの生産を停止する。なお、PCMAは「三菱」ブランドについては引き続き生産を続ける(カルーガ州政府発表3月24日)。

また、各自動車メーカーの発表や当地メディアによると、COVID-19の拡大防止のため、3月28日から4月5日までを非労働日とする大統領令(2020年3月26日記事参照)に伴い、アフトワズと現代は3月30日から4月3日まで、日産とアフトトルは3月30日から4月5日まで、トヨタは3月28日から4月5日まで、一時的に生産を停止する。

(戎佑一郎)

(ロシア)

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