フォード、ロシアでの乗用車生産から撤退

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2019年03月28日

米自動車大手のフォードは3月27日、ロシアでの乗用車の生産を6月末までに終了し、乗用車市場から撤退すると発表した。操業を停止するのは、同社がロシア企業ソラーズとの合弁で設立した「フォード・ソラーズ」が運営しているレニングラード州フセボロジスクと、タタルスタン共和国ナベレジヌィエ・チェルヌィの組み立て工場、同共和国エラブガのエンジン工場。エラブガ工場での小型商用車生産は継続する。

フォードは、乗用車では「フォーカス」「モンデオ」「クーガ」「エクスプローラー」などの車種、小型商用車では「トランジット」を生産している。今回の決定は欧州の戦略見直しの一環と位置付けている。ロシアでは、乗用車市場の回復が予想を下回った一方、小型商用車トランジットの売り上げが好調なことから、商用車の生産・販売に注力することを決定したとしている。欧州ビジネス協会によると、2018年のフォードの乗用車・小型商用車の売り上げは5万3,234台で、ブランド別では10位だった。

ドミトリー・コザク副首相はフォードの決定に対し、「ロシアでフォードのブランドを維持するに当たって経済的に最も効果的な手法を取った」(「コメルサント」紙3月27日)と評した。地元メディアによると、約1,000人が勤務しているフセボロジスク工場の人員整理に際しては、レニングラード州政府が雇用の支援を行うと述べた(「実業ペテルブルク」紙3月27日)。

フォードはロシアで初の外国ブランドの自動車メーカーとして、2002年に生産を開始した。ロシアで自動車を生産する米系自動車会社としては、ゼネラルモーターズ(GM)も2008年にロシアでの製造を開始したが、2015年7月に操業を停止している(2015年3月23日記事参照)。

(一瀬友太)

(ロシア)

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