ジェットスターが関空~マニラ便を運休、日本渡航者の感染確認などで

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月12日

格安航空会社のジェットスター・ジャパンは3月6日、新型コロナウイルス肺炎の感染拡大に伴う渡航制限や旅行需要の低下を受け、関西国際空港~マニラ線を3月7日から22日まで運休すると発表した。日本航空(JAL)および全日本空輸(ANA)の両社ついては、3月11日時点でマニラ線の欠航は生じていない。

一方で、フィリピン航空大手のフィリピン航空およびセブパシフィック航空の両社は、中国本土や香港、マカオとの間のフライトを2月いっぱいまで運休する措置を発表している(2020年2月10日記事参照)。また、フィリピン政府が2月26日付で韓国の大邱広域市および慶尚北道清道郡に過去14日間以内に滞在歴のある外国人に対して、入国・渡航制限を直ちに課すことを決定した(2020年3月3日記事参照)ことを受け、フィリピン航空は3月1日付で、3月1日から31日までのソウル便と釜山便の一部運休を発表。セブパシフィック航空も2月28日付けで、3月3日から4月30日まで、仁川とマニラ、セブ、カリボ間の全便の運休を発表した。さらに、台湾~フィリピン間の旅行需要の低下を受け、フィリピン航空は3月5日付で3月7日から28日までの台北~マニラ線を一部運休とすることを決定した。一方、セブパシフィック航空は、3月6日時点で台北~マニラ線は通常運航を行っている。なお、フィリピン政府は2月10日付で台湾からフィリピンへの入国禁止を発表したものの、14日に入国禁止を解除し、台湾からの入国を認めている(2020年2月17日記事参照)。

日本渡航者の感染確認で渡航規制発動に懸念

フィリピン保健省(DOH)は3月6日、国内4、5例目となる新たな2件の新型コロナウイルスの感染を、3月7日には6例目の感染を確認したと発表した。1月末に感染が確認された、中国・武漢市からフィリピンを訪問していた中国人男性以降、約1カ月ぶりの新たな感染確認となった。

4例目は、日本への渡航歴のある48歳のフィリピン人男性。2月25日に日本からフィリピンに戻り、3月3日に悪寒と発熱があったため、病院で診察し検査したところ3月5日に感染が確認された。5例目は、国外への渡航歴がない62歳フィリピン人男性。2月25日にせきがあり3月4日に検査して、3月5日に感染が確認された。6例目は5例目の男性の59歳の妻だ。

一方で、日本の厚生労働省および外務省は、フィリピンに2月21日から28日まで滞在し、3月4日に日本に帰国した40代男性と、フィリピンに2月20日から28日まで滞在し、28日に日本に帰国した30代男性の感染が確認されたと発表した。

3月9日午前9時現在、フィリピン政府は日本からの入国や日本への渡航に関する制限は発動していないが、相次ぐ日本からの渡航者や日本への渡航者の感染確認を受け、フィリピン政府が日本からの入国規制に動くことが懸念される。

政府は国際機関の資金援助を活用し感染対策

フィリピン政府は国内の感染拡大を防止するため、国際機関の資金援助の活用に動き出している。フィリピン財務省のカルロス・ドミンゲス長官は3月4日、世界銀行とアジア開発銀行(ADB)の援助資金を活用すると発表した(3月5日付ビジネスワールドなど)。世界銀行は3月4日、経済への影響が出ている発展途上国に対して合計120億ドルの資金援助を行うことを発表。ADBも2月下旬、同様の趣旨で20億ドルの資金援助を発表していた。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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