フィリピン、新型コロナウイルスで日系企業の原材料調達や生産に影響

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月10日

フィリピンの経済特区には600社ほどの日系企業が工場を構え、その多くが中国など海外から原材料を輸入し、経済特区で製造、加工した上で中国を含む海外に輸出する輸出加工型のビジネスモデルを取っている。ジェトロが2月7日、複数の日系企業に取材をしたところ、「原材料の調達先である中国企業の工場が稼働しておらず、在庫がなくなりつつある」「客先の中国の工場が稼働を休止して受注量が減少し始めており、生産に影響が出ている」「中国とフィリピン間の国際物流やサプライチェーンに混乱が生じ始めている」という声も聞かれた。

感染疑い200人超え、日本からフィリピン出張キャンセルも

また、2月7日時点で感染者数は3人と少ないものの、中国国外で初めての死亡例がフィリピンで確認されたこともあり、日本からフィリピンへの出張をキャンセルする日本企業も少なからず存在する。在フィリピンの日系企業の多くは中国出張を控え、フィリピン航空大手のフィリピン航空およびセブパシフィックの両社は、中国本土や香港、マカオとの間のフライトを2月いっぱいまで運休する措置を発表している。また、フィリピンの航空会社のみならず、香港のキャセイパシフィック航空も同様に、フィリピン~香港便を2月末まで運休するとしている。一方で、中国本土の航空会社の中には、ごく一部の便に限りフィリピンとの間の航空便の運航を続けているところもある。

なお、フィリピン保健省(DOH)は2月7日、新型コロナウイルスの感染が確認された人が3人、感染が疑われる人が212人(同日正午時点)存在すると発表した。

感染が確認された3人は、いずれも中国・武漢市から1月20、21日にそれぞれセブ島に到着した中国人で、うち1人は2月1日に肺炎の症状が悪化して死亡し、中国国外で初めての死亡例となった。2月7日正午時点で感染が疑われる212人の内訳は表のとおり。

表 新型コロナウイルスの感染が疑われる人数(2020年2月7日正午時点)

(坂田和仁)

(フィリピン)

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