フィリピン政府、韓国テグなどからの入国禁止措置を発動

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月03日

フィリピン保健省(DOH)のフランシスコ・デュケ長官は2月26日、韓国での新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を受けて、フィリピン政府が大邱(テグ)広域市および慶尚(キョンサン)北道清道(チョンド)郡に過去14日間以内に滞在歴のある外国人に対して、入国・渡航制限を直ちに課すことを決定した。2月26日付の「フィリピン国営通信」ほか地元各紙が報じた。

本決定を受けたフィリピンへの入国制限では、永住ビザの所有者、フィリピン人の外国人配偶者または子供、外交ビザの保有者以外の外国人が、過去14日間以内に中国、香港、マカオ、韓国大邱広域市および慶尚北道清道郡に滞在歴のある場合は、入国および乗り継ぎを禁止。一方、過去14日間以内に中国、香港、マカオ、韓国大邱広域市および慶尚北道清道郡に滞在歴のある永住ビザの所有者、フィリピン人の外国人配偶者または子供、外交ビザの保有者の外国人は、14日間の検疫を条件として入国が認められる。

韓国はフィリピンにとって最大の外国人観光客の送り出し国で、2019年は韓国からの観光客数が198万9,322人(前年比21.8%増)と国・地域別で首位になり、全体の24.1%を占めた。2位は中国で174万3,309人(38.6%増、シェア21.1%)となり、両国からの入国制限はフィリピンの観光業界を中心に大きな損失をもたらすとみられる。

政府は、フィリピン国民に対する渡航制限として、国民については香港とマカオを除く、中国全土への渡航禁止措置を2月2日付けで発動している。また、フィリピン国民のうち、香港、マカオ、韓国の永住者、これらの国・地域への留学生、これらの国・地域への労働者以外の者については、香港、マカオ、韓国への渡航を禁止。一方、フィリピン国民のうち、香港、マカオ、韓国の永住者、これら国・地域への留学生および労働者については、関連するリスクについて認識し、理解したことを示す宣誓書に署名することを条件に香港、マカオ、韓国に渡航することが認められる。こうしたフィリピン国民に対する渡航制限は、在外フィリピン人労働者の現地での雇用、労働や生活に影響を与え、フィリピンのGDPの約1割に相当する年間約3兆円規模のフィリピン国内への送金額に影響を与える恐れがある。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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