中銀が5回連続の政策金利引き下げを実施、7.00%に

(メキシコ)

メキシコ発

2020年02月18日

メキシコ中央銀行は2月13日、銀行間翌日物金利の誘導水準(政策金利)を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げて7.00%とした。政策金利の引き下げは2019年の8月(2019年8月16日記事参照)、9月、11月(2019年11月18日記事参照)、12月に続いて5回連続となる。米国連邦準備制度理事会(FRB)は10月以降、政策金利を1.50~1.75%に据え置いているため、今回の引き下げに伴い、米国とメキシコの金利差は5.50%に縮小した(表参照)。金利差の縮小は、通貨ペソに対する外国投資家の購入意欲低下につながりかねないが、引き下げ後も為替相場は安定しており、13日の終値は同日の始値と比べると0.1%高の1ドル=18.6190ペソ、14日の終値は前日比0.4%高の1ドル=18.5470ペソとなり、ペソ相場への悪影響はみられなかった。

表 メキシコの政策金利とインフレ率の推移

中銀の2月13日付プレスリリースによると、需要低迷によるメキシコ経済の停滞やインフレの安定、国内外の金利動向などから、政策金利を引き下げる余地は十分にあると判断し、今回の政策金利引き下げについては全会一致で決まったという。ただし、コアインフレ率が2019年11月の年率3.65%から2020年1月には3.73%に上昇していることもあり、今後の引き下げについては、インフレ動向を注視しながら慎重に決定していく、としている。

低インフレと低金利による消費活性化に期待

為替レートは1ドル=18ペソ台後半で安定推移しており、生産者物価や消費者物価も2020年1月は前月より上昇したものの、中銀のターゲット(3±1%)内で安定推移している(添付資料参照)。物価の安定は消費者信頼感の上昇、金利の低下は消費者金融の活用が多い耐久消費財の購入意欲向上につながる。国立統計地理情報院(INEGI)が発表した2020年1月時点の消費者信頼感指数(ICC、季節調整済み)は前月比0.7%増、耐久消費財購入意欲指数は0.5%増と、どちらも2カ月連続の上昇となっている。現政権下で進められている最低賃金の引き上げ(2020年1月9日記事参照)や所得分配政策の強化も相まって、国内消費が活性化することが期待されている。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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